経営者のみならず、ビジネスパースンは意思決定に際し、たくさんの情報を集める。過去の傾向と現状を知る事は不可欠だからである。けれどどんな場合でも、経営判断に必要な情報を余すところなく集めることはできない。しかも、ビジネスの状況は絶えず変化しているので悠長に構えてはいられない。限られた情報を元に決断することが必要となる。
 そこで、確率の概念やサンプルの考えがビジネス社会にも登場してくる。全部の情報が取れれば確率は必要ないし、わざわざサンプルを取る必要もないのだが、全体の情報がわからないからこそ、サンプルを取るのである。
 サンプルはいわば限られた情報であるから、サンプルから判断すると間違いも起こる。しかしサンプルなしには何も言えない。だから、サンプルから判断するには、統計学の知識が必要になる。
 統計学は、「ものの考え方」の学問であるところだと言える。数学は統計学に必要ではあるが、それは手法の一つにすぎない。
 世の中、不確実性は減ることはない。むしろ、不確実性を認めた上でいかにこれに対処していくのか、どのように意思決定していくのか、そして意思決定に当たってどう現実の場で統計学を駆使していくのかが重要ということである。
 実際の場面ではサプライズつまり予想外の出来事に遭遇する。これが予測を困難にする大きな要因になる。不確実性の重要性が確実性を上回るのはその理由からである。
 本書がお役に立てば誠に幸いです。
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