自動運転×EVを支えるデバイス・部材の市場動向 PDF版
 
= 刊行にあたって =

 自動運転車や電気自動車(EV)など、車の根幹となる部分にエレクトロニクスが関わるようになってきた。IT企業は自動車業界に参入し、自動車メーカーが持っている技術だけでは、今後の激動の時代を乗り越えることは難しい。自動運転とEVは密接に絡んできた。
 現在普及の進んでいる先進運転支援システム(ADAS)の搭載車が増加している。ADAS用のデバイスには車両のフロント、サイド、リアに搭載されるミリ波レーダー(76/77GHz)、準ミリ波レーダー(24/25GHz)、車載用カメラ、LiDAR、ナイトビジョンなどがあり、急速に発展をしている。
 他方、2018年のEV、及びリチウムイオン電池(LIB)業界は大きく揺れた。2018年6月、世界4位の中国車載用電池メーカーである沃特瑪電池が生産ラインを停止させた。
 これまで、中国政府の補助金を背景に、中国勢は日本や韓国などのEV用LIBメーカーを抜いてきたが、補助金縮小という受難の時代を迎えている。今後は、EVに対する政府支援策は徐々に縮小されていくと見られるものの、当面の間、各国政府の普及政策に依存する市場になってくる。
 EVは重い電池やモーターを積み、また、ADASや自動運転の充実で、新規電子部品の搭載が必要になり車体重量が増加する。ゆえに、車体を軽量化するための素材や加工方法が必要不可欠である。今後、鉄からの置き換えによるCFRP化から、材料設計の見直しとハイブリッド材料を使用した“マルチマテリアル”に対応した自動車の登場が見込まれる。本書では熱硬化性、及び熱可塑性CFRPを分析した。また、車載用で使用されるプラスチック材料の使用状況に変化が生じており、汎用プラ、エンプラ、スーパーエンプラ、熱硬化性樹脂の自動車向けプラスチック市場動向を予測した。
 第6章「主要な自動車メーカーのビジネス戦略」では各自動車メーカーを「自動運転」、「EV」、「中国」、「軽量化」、「3Dプリンター」といった項目ごとに戦略をまとめた。
 現在、自動車社会を大きく変えようとしているのは、自動運転とEVであり、本書では、それらを支えるデバイスと部材に焦点を合わせた。新技術によるクルマの進化は、自動車産業のビジネスモデルを変えてしまう。次世代車に向けてのビジネス戦略のヒントとして、情報収集の一助となれば幸いである。
シーエムシー・リサーチ調査部
自動運転×EVを支えるデバイス・部材の市場動向
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