発刊にあたって

 芳香族ポリイミドは、1960年に米国DuPont社により開発された高度の耐熱性を有する有機高分子材料の代表格として、40年後の現在も王者の地位を保ちつづけているすばらしい材料です。芳香族ポリイミドの一群は、耐熱性に加え、優れた機械特性や電気特性といった優れた諸特性のために、航空宇宙産業や電気・電子産業を始めとする広範な産業分野で不可欠の素料として利用されています。
 日本ポリイミド研究会は、1992年の設立以降、ポリイミドを中心に高性能芳香族ポリマー(アラミドや芳香族複素環状ポリマーなど)を含めた材料を対象とした日本ポリイミド会議を毎年開催し、多方面にわたる議論を展開してまいりましたが、2000年に開催された本会議において、研究会設立10周年に向けこの記念企画として『最新ポリイミド〜基礎と応用〜』(以下本書)の発刊が提案されました。本書は研究会活動の総括を目的とするもので、さっそくその構成内容とともに、2001年2月原稿執筆依頼、同年夏脱稿、2002年発刊という短期スケジュールの刊行を決定いたしました。
 本書は第一線の研究者・技術者によるまさに本研究会の総力を結集して完成した記念書籍であり、産・官・学にわたりポリイミドならびに関連材料の基礎研究・応用研究が活発な、わが国でこそ実現しえた画期的な書籍であります。また本書は単なる学術書にとどまることなく、実用面も意識した編集を心がけたものであり、ポリイミドに直接関わりを持つ方々のみならず、関連材料や周辺領域に関心をもたれる研究者・技術者にとっても必ずや座右の書となることを確信しております。
2002年1月  編著者 今井 淑夫
横田 力男
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