= 趣旨 =

日本国内の包装材料市場規模が横ばいから、せいぜい微増程度で推移しているのに対して、アジア特に東南アジア各国においては日本のそれよりも高い伸びを示してきた。しかし、一般汎用包材に限って言えば、徐々にその伸び率は鈍化してきており、数年前のような「二桁伸長は当たり前」とはいかなくなっている。ただ、日本、アジアに共通して言えるのは、包装材料環境の中で『バリアー包装材料』だけは好調に推移しているということである。
 日本市場においてはよりハイバリアーの透明バリアーフィルムが伸長しており、特にセブン・イレブンを始めとしたコンビニPB食品などへの採用が活発化している。背景には食品の賞味期間延長へのより強いニーズの存在がある。2017年は一巡したものの、数年前から始まった「即席袋麺外装へのアルミ蒸着CPPの採用ラッシュ」などはその先駆け的なものであった。この動向の陰には副産物として「外装をバリアー化することで袋内に添付されているスープ袋を【アルミ箔構成の粉末】から【アルミ蒸着PET構成の液体】に変えることができ、それによってスープの食味が向上した」など、シェルフライフ延長以外の効果も生じた。そして、その後の日本ではこのようなアルミ蒸着系よりも透明バリアー系がより高い伸びを見せているのも見逃せない。
 日本市場では透明バリアーフィルムの中でも特に「透明蒸着フィルム」の採用範囲が拡大しており、それによって他の透明バリアーフィルム(PVDCコートフィルム、EVOHフィルム、PVA系コートフィルム、ハイブリッドバリアーコートフィルムなど)との対決の構図が価格的、物性的に多様化し、明確化もされてきている。
 アジア市場においては、中国では数年前からアルミ蒸着系以外の透明バリアー材料が伸長を続けている。特にEVOH系の多層フィルムやPVDCコートONYフィルム、ハイブリッドバリアーコートフィルムなどが好調推移している。そして直近では透明蒸着フィルムも立ち上がっており、これまで日本からの輸入品(三菱ケミカルや凸版印刷など)に限られていたものが、今後は中国国産品が産声を上げる。
 他のアジア諸国、特に東南アジア諸国においては、いわゆる「屋台文化」構造が多く、これまで加工食品自体の伸びが大きくなかった。しかし徐々に加工食品の構成が拡大し、それに伴って「賞味期間の延長ニーズ」も高まりを見せている。これまではアルミ蒸着系の「不透明バリアー」中心であったが、直近では日本、中国同様「透明バリアーフィルム」サプライヤーが各国に誕生している。
 本レポートは、日本及びアジア各国のバリアー包装材料サプライヤーの詳細動向を国別、用途別に明らかにしたものである。対象国は日本、中国、韓国、台湾、タイ、インドネシア、ベトナム、インドである。
日本とアジアのバリアー包装材料 〜実態と将来展望〜 CD-Rセット Copyright (C) 2018 NTS Inc. All right reserved.