第1部 本書の目指すもの

 人工光合成:社会的・政治的諸問題
 
1.1はじめに
1.2人工光合成への移行の必要性
1.3関連する社会的・政治的諸問題
 
1.4利用可能なフォトンの使用:持続可能な科学に向けて
1.5まとめ
 

 統合された人工光合成モデル
 
2.1はじめに
2.2天然の光合成
2.3人工光合成:統合された戦略
2.4光合成に向けての技術的なアプローチ
2.5プログラム1:生物模倣による光電発電
2.5.1高変換効率と高電圧出力を伴った新規の有機光発電技術による国有送電線網への電力の供給
2.5.2達成すべき課題(マイルストーン)
2.6プログラム2:電気分解による水素
2.6.1天然の酵素活性中心をモデルとして開発した電極を活用する、電力による効率的な水素発生に関する新規戦略
 
2.6.2達成すべき課題(マイルストーン)
2.7プログラム3および4:水を使わない農業
2.7.1プログラム3:生物エネルギー変換装置
2.7.1.1達成すべき課題(マイルストーン)
2.7.2プログラム4:CO2固定酵素リアクター
2.7.2.1プログラム3からの生化学的物質供給を利用したCO2固定のための人工酵素リアクター
2.7.2.2達成すべき課題(マイルストーン)
2.8結論
 
第2部 太陽光を捉える

 光電池のため広帯域でのフォトン捕捉を担う生体分子
 
3.1はじめに
3.2光電気化学的なグレッチェル・セル(Grätzel cell、色素増感型太陽電池)
3.3DSSCの典型的な構成要素と性能
3.3.1操作の構成と様式
3.3.2典型的なDSSCの能力
3.3.3装置の限界
3.4DSSCのブロードバンド増感体としてのメラニン
 
3.4.1メラニンの基礎
3.4.2メラニンの化学的、構造的、分光学的特性
3.4.3メラニンの電気的、光伝導性の特性
3.4.4ブロードバンド光集積システムとしてのメラニン
3.4.5合成ユーメラニンを基礎としたDSSC
3.5まとめ
 

 天然光合成アンテナシステムのデザイン
 
4.1はじめに
4.2限られた分子形態:弱い共役から強い共役とその間のすべて
4.2.1伝統的Förster理論:B800からB800へのバンド内エネルギー移動
4.2.2一般化Förster理論:B800からB850へのエネルギー移動
4.2.3遷移密度キューブ(TCD)法を併せた一般化Förster理論:カロテノイドからBChlへの色素間エネルギー移動
 
4.2.4改良型Redfield理論:B850バンド内励起子ダイナミクス
4.3集光性複合体内でのエネルギー的無秩序
4.3.1単離複合体から膜へ:LH2における無秩序性
4.3.2光化学系T
4.4バクテリア反応中心における光化学と光防御
4.5光合成における集光の制御
4.6結論
 

 低温光学分光法による光化学系Uにおける酸化還元活性型発色団の同定
 
5.1はじめに
5.2実験方法
5.2.1サンプル調整
5.2.2照射
5.2.3スペクトル
5.3結果と考察
5.3.1吸収スペクトルとCDスペクトル特性:植物PSUコアとBBY
5.3.2吸収スペクトルとCDスペクトル特性:植物とシアノバクテリアPSUコア
 
5.3.3吸収スペクトル特徴:天然および可溶化した反応中心
5.3.4MCD特性:P680とChlZ
5.3.5エレクトロクロミック特性:活性PSUのPheoD1
5.4結論
5.4.1低温での精密偏光分光法
5.4.2P680とChlZ特性
5.4.3PheoD1のエレクトロクロミズム特性
5.4.4P680と生物模倣システムにおけるカップリングと強さ
 

 光合成初期電荷分離により生成するスペシャルペアラジカルカチオンの性質
 
6.1はじめに
6.2スペシャルペア
6.3正孔輸送バンド
6.4正孔輸送バンドの初期の研究
 
6.5SHOMOからHOMOバンドまでの同定
6.6全バンドにかかわる全スペクトルシミュレーション
6.7スペクトル分析に基づいて予想される化学的特性
6.8まとめ
 

 タンパク質をベースとした人工光合成反応中心
 
7.1はじめに
7.2天然反応中心
7.2.1構造と機能
7.2.2電荷分離状態の創出
7.2.3変異体の研究
7.3合成反応中心と半合成反応中心
 
7.3.1重層フィルム
7.3.2合成反応中心
7.3.2.1電子受容体
7.3.2.2電子供与体
7.3.2.3光触媒作用:光活性ペプチド
7.4展望
 

 発色団間の連結およびスペーシングのための新規幾何学でのポリノルボルナン系足場の開発
 
8.1はじめに
8.2結果と考察
8.2.1非対称性タイプVダイアッド分子を形成するためのカルボニル基での反応
8.2.2フレーム拡張ダイアッド
8.3予備的結果
 
8.3.1ダイアッド合成でのマルチカルボニル試薬の利用
8.4結論
8.5ダイアッドの命名法
 追補 実験について
 
第3部 太陽光で送電線を満たす

 シリコン型太陽電池での高効率発電
 
9.1はじめに
9.2シリコンウエーハ法
9.3薄膜法
 
9.4第三世代の技術
9.5結論
 

 バクテリア光合成の模倣
 
10.1はじめに
10.2自然界における光合成
10.3人工光合成
10.3.1人工アンテナシステム
10.3.2人工反応中心
 
10.3.3アンテナ―反応中心複合体
10.3.4膜貫通型のプロトンポンプ
10.3.5ATP合成
10.3.6膜貫通型カルシウム輸送
10.4結論
 
第4部 光水素発生

 光水素発生のための藻類システムの開発:ヒドロゲナーゼの酸素感受性問題への取り組み
 
11.1はじめに
11.2硫黄欠乏と光水素発生
11.2.1背景
11.2.2硫黄欠乏細胞における異なる代謝経路間の相互作用モデル
11.2.3モデルの検証
11.2.4硫黄欠乏時の光水素発生の制限因子
11.2.5制御機構
 
11.3藻類のヒドロゲナーゼの分子エンジニアリング
11.3.1藻類のヒドロゲナーゼと水素発生
11.3.2二つのC. reinhardtii由来[Fe―Fe]ヒドロゲナーゼの単離と配列決定
11.3.3二つのC. reinhardtiiヒドロゲナーゼの嫌気的発現
11.3.4酸素によるヒドロゲナーゼ活性の阻害と酸素耐性の向上を目指した分子エンジニアリング
 

 光合成と水素生産の増進を目指した緑藻のバイオエンジニアリング
 
12.1はじめに
12.2理論的根拠と研究アプローチ
12.3緑藻におけるクロロフィルアンテナサイズの生理的状態
12.4緑藻におけるクロロフィルアンテナサイズの遺伝学的制御機構
 
12.5光合成クロロフィルアンテナサイズに対する色素関連変異の影響
12.6光合成クロロフィルアンテナサイズを制御する遺伝子
12.7まとめ
 
第5部 炭素の連鎖

 高等植物の葉緑体におけるリブロース1,5―ビスリン酸カルボキシラーゼ/オキシゲナーゼの操作
 
13.1はじめに
13.2なぜ植物のRubiscoの操作なのか
13.2.1現在は、高等植物の遺伝学的操作が実行可能である
13.2.2生理学的な意味合いにおけるRubisco「生息地」の「生態学」研究の利点
13.2.3ゲノム―フェノム(phenome)間の相互作用に関する説得力のある事例
13.2.4光合成の資源利用効率の改良
13.3Rubiscoの高い効率に貢献する要因は何か
13.3.1反応速度に関する重要な要素
13.3.2Rubisco効率の生理学的結末
13.3.3制御的な性質
13.3.4Rubisco効率の進歩
13.4より良いRubiscoの見つけ方
13.4.1自然界から見つける?
13.4.2合理的な設計によって見つける?
13.4.3in vitroでの進化
13.5植物においてどのようにRubiscoを操作するのか
 
13.5.1核の形質転換
13.5.2プラスチドの形質転換
13.6私たちはこれまでに何を学んだか
13.6.1核ゲノムとプラスチドゲノムは、共にrbcLとRbcS遺伝子の両方を発現できる
13.6.2光合成と生長は外来のRubiscoにより維持することが可能である
13.6.3変異あるいは外来のRubiscoの性質は、葉のガス交換の性質に反映される
13.6.4赤型、FormTRubiscoのサブユニットのフォールディングと組織化で要求されることは、葉緑体では適応できない
13.6.5rbcLの指向性変異発生のために適した戦略
13.6.6サブユニットの混成はin vivoで形成される
13.7in vivoにおける将来のRubisco操作の優先度
13.7.1効率的な特性の構造的基礎
13.7.2Rubisco遺伝子発現の制御
13.7.3Rubiscoサブユニットのフォールディングと組織化
13.8まとめ
 

 コンピュータシミュレーションを用いた光合成酵素Rubiscoの化学における非効率性の解明
 
14.1はじめに
14.1.1触媒の非能率性
14.1.2進化的における制約
14.1.3実験における制約
14.1.4シミュレーションの目標
14.1.5シミュレーションにおける選択肢
14.2計算方法
14.2.1計算プログラム
14.2.2酵素モデル
14.2.3活性部位複合体
14.2.4QM/MMシミュレーション
14.3結果と議論
14.3.1断片複合体の計算
14.3.1.1エノール化段階
14.3.1.2カルボキシル化段階
 
14.3.1.3水和段階
14.3.1.4CO2とH2Oの逐次付加
14.3.1.5gem―ジオールの選択的配座
14.3.1.6C2―C3結合開裂:経路T
14.3.1.7C2―C3結合開裂:経路U
14.3.1.8C2のプロトン化
14.3.1.9生成物の分離
14.3.2主要成果の概要
14.3.3QM/MM+MD計算
14.3.3.1CO2付加:カルボン酸への初期 vs 後期プロトン化
14.3.3.2β―ケト酸の水和反応
14.3.3.3His294は中間物を脱炭酸反応から保護する
14.3.3.4堅固に結合した活性部位環境
14.4結論
 

 人工光合成における炭素を基礎とした最終生成物
 
15.1はじめに
15.2植物の葉緑体における光合成の最終生成物は何か
 
15.3最終生成物の合成は、光合成を制限するか
15.4理想的な光合成の最終炭素生成物とは
 

 人工光合成システム:工学的方法/font>
 
16.1はじめに
16.2人工光合成システムに向けての工学的取り組み
16.3工学的な取り組みの要素
16.3.1経済的価値
16.3.2天然の光合成システムの限界
16.3.2.1天然光合成システムの速度
16.3.2.2天然光合成システムのエネルギー効率
16.3.2.3天然光合成システムにおける水の要求
16.3.2.4天然光合成システムにおける土地利用
 
16.3.3実用規模
16.3.4機能上の特性
16.4システム構想における各要素
16.5シアノバクテリア
16.6光バイオリアクター
16.7理論
16.8結果
16.9まとめ
 

 対温室効果ガス技術:炭素量削減のための道筋
 
17.1はじめに
17.2CO2の回収
17.3CO2の貯留
 
17.4オーストラリアのイニシアチブ:回収技術と貯留技術
17.5まとめ
 
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