発刊にあたって

 科学技術振興事業団(JST)は、科学技術振興のための諸々の基盤の整備、独創的な研究推進のための環境づくりを使命とし、平成8年10月に設立されました。以来、科学技術情報の流通に関する業務、研究交流・支援に関する業務、基礎的研究の推進業務、技術移転推進業務、科学技術に対する理解増進業務などの事業をこの使命を果たすために広く推進しております。
 科学技術情報の流通に関する業務では、科学技術に関する逐次刊行物、技術レポート、会議資料、公共資料、予稿集などを国内外から網羅的に収集し、その中から有用な記事を選択し、毎年70万件の文献データベースを作成しております。蓄積したデータは、1975年以来すでに1,300万件を超えており、科学技術文献ファイル(JOISオンラインサービス)として提供しております。当科学技術文献ファイルは、データベースの利用頻度の調査において長年に亘り国内第一位を推持し、多くのご利用者の支持を得ているデータベースです。この度、このデータベース作成を通して得られた情報を活かして、現在注目されている科学技術の動向を文献から分析、調査し、この結果を「研究最前線2000 ―文献分析から―」として纏め、発行することとしました。
 今回の科学技術動向の分析は、1998年までの科学技術文献ファイルに収録された記事をテーマにより1981年〜1995年まで遡り、270万〜1,100万件を分析、調査対象としました。調査した25テーマは、新科学技術基本計画の重点戦略目標およびJST研究開発課題領域等を考慮し、環境、ライフサイエンス、材料、情報通信、社会基盤(防災)、エネルギー、新技術などの分野(領域)から選定しました。
 この「研究最前線」は、経営者や企画・営業の担当者など必ずしも科学技術を専門としない方でも科学技術全分野の現状を概観するための一助としてご利用いただけます。また、研究者や開発担当者にとっても、異分野の動向を知り、学術的・学際的な技術移転のヒントとして役立てていただけるものと考えております。
 今後も、タイムリーなテーマを選定し、この分析と調査を継続していく予定です。今後の本書の発行に活かすため、皆様の忌憚のないご意見・ご批判等をお寄せいただければ幸甚です。
平成12年9月  科学技術振興事業団 理事長 川崎 雅弘
Copyright (C) 2003 NTS Inc. All right reserved.