3Dプリンターがトレンドになったのは3つの大きな要因がある。一つは、熱溶融積層方式の3Dプリンターの特許が2009年に失効し、低価格の3Dプリンターが販売されるようになったことである。二つ目は、2012年に、クリス・アンダーソン氏が著した『MAKERS』で、3Dプリンターがインターネットのように産業構造に大きな革命をもたらすと予想したことである。三つ目は、2013年の一般教書演説においてオバマ大統領が製造業の復活を掲げ、3Dプリンターの研究開発の強化を表明し、低価格な3Dプリンターが普及したことである。
この背景には、熱溶融積層法、光造形法、レーザー焼結法の3種類の製法が、ここ数年で全て特許切れとなり、各社の開発が活発になった状況がある。それゆえ、3Dプリンターの価格は下落傾向であり、現在では1台あたりの価格は2〜 3万円程度の機種まで登場しており、2014年と比べても価格は10分の1まで低下している。2014年の3Dプリンターの出荷台数は、コンシューマー向け装置の普及が浸透するという背景から96,000台と見込み、2020年には1,096,000台と飛躍的に拡大すると予測する。
他方、3Dプリンターで使用するフィラメントには、アクリル系樹脂が使用されるUV硬化型樹脂系とABSが多く使用される熱可塑性樹脂系の二種類がある。2012年の金額ベースの構成比は同程度であるが、将来的には小型のインクジェット式プリンターの需要増加に伴い、UV硬化型樹脂系の比率が拡大し、UV硬化型樹脂系の2015年の市場は、前年比178.0%の2,298億円と増加し、2020年には8,360億円まで拡大していく。
本書では、市場編として、3Dプリンターの製品タイプ別の特徴と価格帯の見通しや3Dプリンター用造形材料の市場・参入メーカーの動向などを網羅した。技術編では金属材料、細胞、ポリ乳酸を扱った3Dプリンター研究の最新動向を掲載している。
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