この「3D踊る肉単」は、語源から覚える解剖学英単語集「肉単」の姉妹版として、人体の関節構造の動的変化をよりリアリスティックに理解するために3Dコンピュータグラフィクスを駆使して、個々の関節運動に関与する骨格筋の動き(肉の踊るさま)に焦点をあてて、それを表現しようとするひとつの試みである。 その過程において、学問的正確さを犠牲にすることなく、できるだけ理解しやすくすることをこころがけた。解剖学の教科書や図譜などの紙面上の2次元の関節構造や関連する骨格筋を時間軸上で変化させるという頭の中で行う再構成作業(2D⇒3D⇒4D変換)は、簡単なようで実はかなり意識を集中させないとできない複雑なしろものである。一度じっくり実験してみることを勧めたい。
 医科大学等における解剖実習では、献体による骨格標本やご遺体という貴重な学習教材を使用して、学生たちは人体の構造やその動的変化について勉強する。しかし、このような環境や機会は限られた人にしか与えられていない。関節運動やそれに関与する構造やその動的変化について、より深く正確に、よりリアリスティックに知りたいという要望は、医療関係者にとどまらず、スポーツ、演劇、美容関係等に携わる人のなかにも多いかもしれない。この「3D踊る肉単」が、医療関係者のみならずそのような方々の要望に応えることができれば望外の喜びである。
この「3D踊る肉単」も、語源から覚える解剖学英単語集シリーズ同様幅広い読者に受け入れられることを切望する。

「監修のことば」より/2009年4月 東京慈恵会医科大学 解剖学講座 教授 河合 良訓
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