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不定愁訴の統合生理学と商品開発 〜美・健康・老化予防と有効性評価試験〜 |
== まえがき ==
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本書の刊行の目的は,美,健康,老化および不定愁訴に関して研究開発を行っている香粧品メーカー,
食品メーカー,医薬メーカーなど様々な分野,業態の企業の研究開発支援につながるような技術や手法を発信するためである。
著者自身もかつてそうであったように,新しい研究テーマを模索したり,素材について新しい評価を行おうと思ったときに,
何から手をつけてよいのか戸惑う場面が多々あったように思う。このような場面に直面したときに,
一から専門書や書籍,論文を読みふけった諸氏も多いと思われるが,残念なことに,そのようなものからは,
開発のヒントになったり,新しく糧になるものは見つからなくて落胆したことが多かったように思われる。
また,遠路はるばる吾妻の地まで打ち合わせにお越しいただいた企業研究者や開発担当者の方々とお話をさせていただいて,
「皆さん,良い素材や技術をお持ちなのにどのようにして研究開発をしていいのか困ってるんだなあ」,
「それだったら,こんな評価方法もあるのでぜひ検討してほしい」と思うことである。たとえば,
食品の研究開発者に食品素材を化粧品素材としてどのように評価すればよいか問うても,
正答を得るのは難しいのも当然であろう。しかしながら,2020 年初頭から世界中がコロナ禍で様々に対応,
模索している最中であるからこそ,現状を守りながらもアフターコロナを見据えた研究開発の準備,
強化が必要と考えている。そういう意味でも私たち自身の研究力を強固にしていく必要があろう。
本書では,美,健康維持,老化防止および不定愁訴緩和という4つの課題に対して統合生理学的な視点から,
第1章から第4章までは関連する事象について順に概説した。
第5章からは,具体的な評価技術として心理学的な手法をまとめて記した。
第6章では,生理学的な手法を自律神経活動評価,中枢神経活動の評価,さらには動作や筋機能評価等について言及した。
第7章では,官能評価試験,有効性評価試験の実施とその課題についてまとめた。
さらに第8章では,応用編として調査,有効性評価試験の実施方法について記した。
第9章では,重要であるが,第1〜 8章でふれることができなかった内容についてまとめた。
このような構成にしたことで,第1章から第4章で出てきた事象の実際の評価法と課題,さらには,
具体的な試験の実施方法についても後章で確認できるようになっている。
冒頭から読み進まなくても中途から読んでもいいように構成したつもりである。
本書の内容が多岐にわたることから,発刊のお話をいただいたときは,
まず知り合いの専門家に相談して各専門分野を分担して執筆していただき,まとめていこうと考えていた。
しかしながら,著者自身の構想が進むにつれて,元々本書の発刊の目的がある研究分野に関する専門書というより,
産業界で実践的な立場の方々に活用していただく実用参考書のような位置づけの専門書を提供することであると考えるようになった。
したがって,著者一人で全章を執筆するに至ったが,その考えと取り組みは間違っていなかったと思っている。
自身でまとめみて,各課題の関係性,たとえば,美と老化防止や美と健康の関連性などについては,
専門家でもまとめるのが大変であったろうと思案した次第である。
本書で取り上げた4つ課題の解決に向けて多くの方々が取り組んでいるが,
統合生理学的な視点がその一助になることを期待している。
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不定愁訴の統合生理学と商品開発 〜美・健康・老化予防と有効性評価試験〜 |
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