発刊にあたって

 情報通信ネットワークの広帯域化・多重化への技術進展に伴い,世界を一つの情報の網の中に包含するというGIIの構想に向け,国あるいは地域にまたがる協力体制が整いつつあります。光通信技術とワイヤレス通信技術が相互に浸透し,通信と放送の境界が解消していくなど,従来の枠組みを超えた「融合」が今日のキーワードと言えます。高度のネットワークを利用して,情報化社会の利便性を「いつでも,どこでも,誰とでも」,享受したいという人間本来の欲求をみたすべく,新しいコミュニケーション環境が築かれる時代が日々,近づいているのが強く感じられます。
 光・マイクロ波半導体デバイスはこのような,「融合」の時代の要石の役割を担い,新しいネットワークの構築と利用を支えています。ネットワークに対する要請が多様化するにつれ,デバイスへの要求も必然的に多岐にわたってきます。
 このような状況に鑑み,マルチメディア実現のキーデバイスである,光・マイクロ波半導体の利用技術について,広範なデバイスユーザの技術選択およびデバイス技術者の開発戦略立案の指針とするべく,本書を企画いたしました。
 移動体通信・光アクセス系通信・衛星およびマイクロ波幹線通信・光ネットワークに用いられる, 化合物半導体デバイスおよびシリコン超高周波デバイスにつき,システム側からの要求性能およびこれに対するソリューションを集大成することが本書の目的であり,各執筆者の技術思想と最新技術データを収録した実践技術書を目指すものです。
編集委員  阿部 浩之
三村 高志
茅根 直樹
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