ミリ波応用技術 〜アンテナ・回路・基板・材料〜
 本書では,ミリ波システムの性能を左右する重要構成要素部品であるアンテナと高周波回路について,技術の概要とその開発動向について解説している。そして,ミリ波技術の代表的な応用例として,車載ミリ波レーダやミリ波通信について,その開発動向をまとめ,将来のセンシング技術であるミリ波イメージングについても紹介している。さらに,ミリ波システムの低コスト化のために,アンテナや高周波回路には,高周波基板が用いられ,ミリ波システムの性能とコストを左右する重要な技術であるため,高周波基板の開発事例についても紹介している。高周波基板は様々な企業で開発が進められており,低損失,低コスト,多層化,安定した特性(温度変化やロットによって,特性のばらつきが少ない)といったキーワードで,高性能化が進められているため,今後も注目すべき分野である。また,システム性能を安定的に維持するため,電波システムでは常に生じる干渉の問題を回避する必要があり,ミリ波の周波数帯特有の電波吸収体の設計について述べている。ミリ波帯では,これらの材料の特性が低周波とは異なるため,アンテナや高周波回路の設計には材料の電気定数の正確な情報が非常に重要である。最後に,材料の電気定数やアンテナ,レーダシステムのミリ波帯での測定技術について述べている。以上のように,本書は,ミリ波ハードウェア技術について,実用的な観点を中心にまとめている。これらのシステムの開発に携わる読者の一助となれば幸いである。

(榊原 久二男 「はじめに」より)
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