全固体電池の基礎理論と開発最前線
 全固体電池がますます注目を集めている。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、2018年6月15日に、全固体リチウムイオン電池の研究開発プロジェクトの第2期が始動したと発表した。トヨタ自動車やパナソニックなど自動車・蓄電池・材料メーカー23社および大学・公的研究機関15法人の共同研究開発プロジェクトで「全固体電池」の基盤技術の開発行い、2022年度までに技術確立を目指す、日本連合プロジェクトである。
 当書籍の企画は、2016年にさかのぼる。2016年には、広く普及している従来型のリチウムイオン電池の3倍以上の出力特性を持つ全固体セラミックス電池を、トヨタ自動車加藤祐樹博士と東京工業大学菅野了次教授が開発された。そこで、全固体電池に関して長らく研究に携わり、各種のプロジェクトをリード、前述の成果を挙げられ、「材料科学 基礎と応用」(東京化学同人)の執筆者でもある東京工業大学の菅野先生にご監修をお願いした。
 当書籍は、4編で構成されている。第T編「基礎理論」では、電気化学的な基礎理論、電極・電解質界面の観察によって導かれた理論など、現時点までに判明しつつある全固体電池に関する基礎的な理論を第一線の先生方に個別の研究テーマ毎に整理しなおしていただいた。第U編「企業の研究開発動向」では、各メーカーでの成果について、各メーカーの研究者の方々に公表可能な範囲で最先端の研究開発成果ご紹介をいただいた。第V編「海外企業動向」では、第W編「特許動向」で特許出願件数の多い海外企業(一部研究機関)および最近ニュースなどで名前の挙がった海外企業の全固体電池および固体電解質に関する概況を紹介した。第W編「特許動向」では、特許データベースから得た情報を元に海外の情報を中心に分析した。また、出願番号・公報番号や内容の抄録を付けたデータを付録とし、さらに別売CDには書籍に記載していない追加特許情報も収録したので活用いただきたい。
 開発競争の激しい全固体電池の分野であるが、開発の足腰を鍛えていただくためにも基礎理論を何らかの形で整理できればとの思いが当該書籍企画のきっかけである。本書が全固体電池の研究開発に携わっておられる研究者・技術者のお役に立つものと確信している。
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