発刊にあたって

 地球温暖化、オゾン層破壊、酸性雨、有害廃棄物、リサイクル等の環境問題が話題に上らない日はありません。これらの問題は、人類が地球と共生していくために早急に解決されるべき問題であります。環境を考慮しない企業、団体、個人がその存続すら許されない社会へ向かって、人類は今、大きく舵を切っているといっても過言ではないでしょう。このようにますます重要性が高まる環境問題ですが、この解決を担っているのが触媒であり、今後もさらに重要な役割を果たすことが期待されています。
 こうした現状を踏まえ、水圏、気圏における環境浄化技術の現状、研究開発の最新の到達地点を集大成し、刊行を企画いたしました。
 本書では、現在の重要な環境触媒技術を網羅するために、全体を大きく二部構成に分け、前半では「出したもの、出てしまうものをどう処理するか」を中心に、また後半では「出さない方法についてどんなことが研究されているか」について言及いたしております。また将来重要な環境技術に成長するであろうと期待されている燃料電池、光触媒等についても積極的に取り上げました。
 本書は、第一線で研究開発に携わっている方々の座右の書となるのみならず、新しくこの分野の研究開発を始める方々の参考書になりうることを目指しています。このため、各執筆者にはできるだけ実例、具体的データ、一覧表を豊富に取り入れていただくようにお願いいたしました。
 本書が、環境触媒化学の普及と展開に結び付き、国内外の環境整備ひいては地球と人類の共生に向けての一手になれば幸甚であります。
2001年11月  監修者  岩本 正和
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