書評

本書は、「緑の知恵と技術による都市と国土の再生戦略」セミナー(2002年6月、27日)の講演録を再編集したものである。
 11人の講師がそれぞれ自分の専門分野から発表しているが、講演の最後の質疑応答までが記されており、このセミナーの全容が理解できる。テーマと講師を一覧すると次の通りとなる。
 1.新・生物多様性国家戦略と自然再生(則久雅司・環境省自然環境計画課調整専門官)2.公園・緑化技術五箇年計画の動向(鳥越昭彦・(財)都市緑化技術開発機構研究第一部主任研究員)3.植物による環境負荷低減技術―ファイトレメディエーション(西村実・(株)日本総合研究所創発戦略センター上席主任研究員)4.グリーンゴールドの時代を拓く植物バイオテクノロジー(小林昭雄・大阪大学大学院工学研究科応用生物工学専攻教授)5.人工地盤(屋上)緑化技術の最先端(橘大介・清水建設(株)技術研究所主任研究員)6.明治神官の森に学ぶ都市の森づくり(濱野周泰・東京農業大学造園科学科助教授)7.法面緑化技術の現状と今後の展開(中野裕司・ライト工業(株)地域環境研究所主任研究員)8.健康な住まいづくりを目指す建築生物学の緑化(石川恒夫・前橋工科大学工学部建築学科助教授)9.都市緑化ビジネス、今後の展開(木田幸男・東邦レオ(株)常務取締役)10.生態工学によるエコ空間づくりの最先端(亀山章・東京農工大学景観生態学研究室教授)11.花と緑の構造改革による都市再生を(近藤三雄・東京農業大学教授)。こうして全体の流れを概観してみると、学者だけでなく、民間からも4人が論述に加わったことで、本書に厚みを加えたように思う。
(環境緑化新聞 2003年3月15日掲載)
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