【発刊にあたって(監修:出光興産(株) 金井 俊孝)】

 第1巻の機能性フィルムが発刊されて約2年半が過ぎたが、この分野の開発は急速に進んでおり、状況は大きく変わったように思う。
 第1巻を発刊した時は光学フィルムの開発が積極的に行なわれ、特にLCDディスプレイの技術が注目されていた。しかしながら、日本で開発された技術がコストの安い海外、特に東南アジアでの製造が活発となり、TVやパソコンなどの生産は日本から海外にシフトし、技術の高度化というよりも、いかに低コストで製造するかが重要になってきており、状況は大きく変化したと言える。
 そこで、第2巻では将来にも成長が期待される機能性フィルムを中心とした技術内容とした。
 すなわち、I-PhoneやI-Padに代表されるスマートフォンやタブレット型端末などに使用されるタッチパネル用フィルム、モバイル機器やハイブリッド車、EV車に重要なLiイオン電池、東日本大震災以降注目されている太陽電池などに使用される機能性フィルム、エネルギー効率を高める遮熱フィルム、化石燃料を使用しないPLAフィルムや食品包装や医療包装のバリアー性フィルムなどを中心に取り上げた。
 一方で、フィルムの製造に欠かせないフィルム成形機やフィルムを成形加工する上で基盤となるレオロジー、高次構造解析、光学物性予測技術についても、取り扱った。また、フィルム成形の中で最も多く使用されている延伸フィルムの少量評価技術についても、最近開発された評価機を用いて迅速に評価できる機器を使って得られた結果について、この章の最後に述べている。
 なお、この本はこれらの領域において、日本を代表する大学、企業、研究機関の一線で活躍されている諸氏に執筆をお願いし、ご協力いただいたことによって、前回以上に書籍のクオリティは高まっていると思われる。それらを踏まえ、本書が我が国のフィルム開発分野で日夜奮闘されている研究者・開発者にとって研究・開発・生産・営業活動の一助になれば幸いである
(序論より抜粋)
 
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