2015年に入りバイオPETやバイオPEなどのバイオベースマテリアルの特性が急速に向上してきた。PLA、バイオPET、バイオPE などの代表的な素材で比較してみると、PLAは安定した需要を維持しているものの、当初期待されていた規模からは少ない水準にとどまっている。PLAの新用途では、北米において生分解性が求められるシェールオイル掘削素材として採用され、また、成形品の反りの少ないことから3Dプリンター用造形材料に使用されている。
 3Dプリンター用造形材料はABSとPLAが主流を占めている。ただPLAはABSのような粘りが無く硬いため、表面の塗装や、やすりがけなどの後加工に不向きである。また、ABSに比べ熱に弱い点や、後加工がしにくいため、小さい物体を成形する場合にはABSの方が多用されている。一方、PLAをベースにし、異なる素材を粉末状で混ぜ合わせることで、異なる質感の3Dプリンター用造形材料ができることから用途開発が進んでいる。
 他方、近年では、非生分解性のバイオPETやバイオPEなどがバイオプラスチック業界を牽引している。これらはPLAと比べ、既存設備をそのまま使えることができることから、特定分野のユーザーによる採用意欲が高く、今後は飲料用ボトルやレジ袋向けに採用を伸ばしていくものと予測される。
 バイオPETやバイオPEの需要が増加した背景には、2010年に飲料ボトル向けのバイオPET、2011年にレジ袋向けのバイオPEを採用する企業が増えてきたことにある。これまで、バイオプラスチックの中心であったPLAに代わり、バイオPETやバイオPEなどの新しいタイプのバイオプラスチックが登場し、以前と比べ樹脂の種類も増えるとともに、物性の改善も進むにつれ、徐々に適用が広がってきている。さらに、最近ではナノセルロースを使った樹脂材料の開発研究が注目を集めている。本書ではこれらのバイオベースマテリアルの適用・開発動向・市場展開動向などの最新情報を掲載した。
 
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