趣旨

ラミネーティング( ラミネーション、積層 )は、ある基材に同種または異種の基材をラミネートする(貼り合わせする)ことによって、基材そのものが持つ特徴を活かすと同時に、欠点を補ったり、新たな機能を付け加える加工方法と定義されている。
ここでラミネーティングの位置づけは、コンバーティング加工技術の中の一つであり、一連のモノづくりの流れの一工程に過ぎない。個々の固有技術の集まりから製品が作られて行く。
モノづくりをしている生産現場では、工程が多くなるとこれにつれて不具合、ロスの増加を抱えている現場が多く見受けられる。
原材料を投入して目的に合う具体的な製品を作り上げる、これは各工程全てに言えることで、それぞれの工程で共有するルールを確実に守り、作り上げて行くのである。当然、再現性が求められ、それには生産・製造技術、生産技能、経験とコツ(ノウ・ハウ)の蓄積が要求される。即ち「生産技術」と「良いモノが作れる方法・やり方」が確立され、この知見に詳しい人材の教育が図られていれば、良いモノづくりと活動が可能になる。
コンバーティング加工と称されるコーティング・印刷・ラミネーティング・リワィンディングおよびスリッティングは、ロール原反から製品原反ロールへ連続生産(ロールto ロール)が行われていることから、各工程共に生産スタートから良い品質を作り込むことが大事で、不具合、生産ロス・ムダ、製品トラブルを低減させることが重要なポイントになっている。
・ 努力している割には、生産性、歩留が思うように向上しない。
・ 同じようなトラブル・不良がたびたび再発する。
・ 不良やトラブルを解決したいと思っていても、忘れたころに発生する。
これらは原因究明が正しい記録、正しい究明作業の基に最後まで行われず、曖昧な状態で終わるために、このような事態に陥るのである。
不具合の無い、ロスの少ない最終製品を得るためには、各工程共に生産スタート時から良品を作り込めば良いことになる。そのためには、
@ 生産技術、製造技術および加工技術の仕組みと加工条件を、具体的に明確にして取り組む
A 決められたことを、決められた通り行い、立ち上がりをスムーズに行える力をつける
B 当たり前のことを、当たり前に行い(三現主義、PDCA、不具合品を入れない・作らない・出さない)、
   事実と生の記録から、正しい技術の確立を図る
C 作業技術の暗黙知から形式知化を進める
D 現場作業者の製品良否判断能力を高める
E 現場での作業、試作、試験および技術試験の成文化と共有化を図り、技術の蓄積を高める
などが挙げられる。
ここでモノづくりの技術・技能は、次の二つに分けられる。固有技術(各工程の加工能力と技能・コツ)と管理技術(生産効率・能率を上げる技術)である。技術を中心とする固有技術を先ず重きに置き、次に管理技術に進めることのできる体制が構築されると、良いものを、安く、早く作り上げることができ、モノづくりの安定した現場が生まれてくる。
本書ではコンバーターから見た主なラミネーティング方法、特にノンソルベント・ドライ・押出・共押出ラミネーティングを中心に、図をもとにやさしく述べ、スリッティングについても触れていく。また、そこに生じる主なトラブル及び対策についても解説する。
ここでの対策はいずれの機種および原材料全てに当てはまるとは考えていないが、実務から見た事例として参考にしていただければ幸いである。

 
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