= はじめに =

 食品包装業界が「商品の賞味期限の延長のための技術的な問題」、「日本の夏の亜熱帯化による食品劣化から内容物を守るための包材開発の問題」、「輸入フードパッケージ材料の見極めの問題」などの諸問題に直面しているこの5〜6年の間、食品以外のいわゆる「非食品包装業界」は、どのような推移を見せているのだろうか。
 食品、非食品包装に共通して言えることは、その流通には確実に東日本大震災の影響が影を落としているということである。東日本を始めとして日本中の経済活動が強制的にリセットされたのは非食品包装も同様であった。
 震災後の流通系店舗の欠品、包材メーカーの自動倉庫の被災なども食品包装と同様な道を辿っている。そんな中で製品メーカー、包材サプライヤーは、着実に立ち直り、需要を好転させてきている。
 例えば、医薬品を中心とした「メディカル・パッケージ」や「ペットフード用包材」「ケミカル製品用包材」などが堅調に推移してきた。
 特にメディカル・パッケージは、高齢化社会の進行とともに着実に市場規模が拡大している。メディカル・パッケージには主として医薬品を対象とした包装材料、そして医療機器や医療器具を対象とした包装材料がある。
 医薬品を対象とした包装材料は、「医薬分包」用、「医薬ストリップ包装」用、「医薬スティック包装」用、「医薬貼付薬包装」用、「医薬PTP包装」用などが主だったところである。
 医薬ストリップ包装は、PTP包装に代替され、もう殆ど残っていないといえる規模にまで縮小している。対してPTP包装は、ストリップ包装ばかりか、他のパッケージからの代替やそれ自体の自然増などもあり、現在も好調に推移している。最近では日本の気候が高温多湿化していることから、バリアーコートを施した高防湿のタイプも増加している。
 また医薬スティック包装もこれまでの粉末もしくは顆粒タイプ一辺倒から、ゼリータイプや液体タイプまでラインアップが増加している。元々このタイプのパッケージは、コーヒー飲料や青汁、その他健康食品などの「食品包装材料」として火が付いたが、このように非食品包装分野にも裾野が広がっている。
 また、医療器具を対象とした包装材料は、「輸液・一次包装」用、「輸液・二次包装」用、「シリンジ及びプレフィルドシリンジ」用、など多岐に亘る。
 この中でも輸液・一次包装用は、ガラス瓶やPPボトルからバッグへの急速な代替が進んだ。特にガラス瓶はほぼ代替され、どうしても必要な用途を残すのみとなった。またPPボトルも輸液中の内部空気の問題などで需要が減少し、今後伸長するのはバッグのみとなった。
 ペットフードやケミカル製品においては、パッケージのバリアー化が進行している用途があり、今後はその分野の推移が注目されている。
 一例を示したが、非食品包装を取り巻く環境はここ5〜6年で変化している。本レポートが、非食品包装業界を見る上で必携の書となることを確信し、ご購読をお勧めする。
非食品包装材料市場の現状と展望 2016 PDF版
〜医薬品・医療器具などのメディカルパッケージが牽引〜
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