はじめに

北陸新幹線が2015年3月14日に開業した。これによって東京―金沢間の所要時間は約二時間半となり、大幅に短縮された。
私は2000年から2009年まで兵庫県の宝塚から泊りがけで福井工業大学に通っていた。
大学をやめる年には、福井では新幹線開通はまだ先のことにもかかわらず、新幹線を意識した福井駅つくりが進んでいた。よく行っていた金沢では開業が早いだけに、その準備も進んでいた。これらの状況を知るだけに、北陸新幹線の開業は私にとってより感慨深い。そして、この開業を記念して、この「北陸新幹線・沿線の山旅」を開業の年につくることにした。
次頁に示すように、路線と沿線の山々との位置関係は複雑である。北アルプスのように標高の高い山はいろいろな場所から見える。そこで列車の窓から見える状況などを考慮して駅間を分割し、取りあげる山を線で分類してある。多くの山は若いときに登っている。そのときの山行も取り上げてあるので、自分自身の登山史の色彩がかなり強い。しかし、若いときの話ばかりでは物足りないので、かなりの山は六十才を過ぎてから登りなおして、紀行文を書いている。
書き方は、沿線風景を会話体で、会話にでてくる山々の紀行を随筆風に書いてある。関連していることで書きたいことはコラムという形で挿入した。ただしコラムとしては長すぎるかもしれない。
本書は登山案内書というよりは随想集のつもりで読んでいただければ幸いである。
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