次世代店舗 第3号 〜The Future of Store Innovation and Revolution〜
世代店舗という本誌は、Amazon GOの出現衝撃を契機に企画が進み、お買い物天国の日本、オーバーストアで苦戦が続く小売流通業の将来像をどう描けるか、という宿題を持ちながら第3巻を発行するに至りました。

前号ではバーチャルショッピングの実証実験や現実感を楽天技術研究所からご報告いただき、「店舗を再発明する」とは、どのような視点と取り組みが可能なのかを追究しました。

今号は店舗運営側から視点を逆転させ、顧客から見た店舗、望ましい売場作りというものをテーマにしています。インターネットショッピングに欠かせない物流管理ソフトウェアのロジザード梶@金澤社長には、日本と中国でのネットショッピングの現実を語っていただきました。Amazonと対峙している中国アリババのジャックマー氏が提唱するニュー・リテイル戦略構想の一端を知ることができます。

地球最大の書店であるAmazonがアメリカ本土で展開している「リアル書店」は予想以上に小ぶりで、まるで図書館の新刊本コーナーのように表紙陳列が並ぶ店だったと編集部員報告が上がってきました。

感性工学というジャンルの第一人者、井上元広島国際大学教授には工学的に見た店舗のデザイン、顧客へのアピール、アプローチについてご持論を展開していただきました。

人間工学では、親しみやすい、利用しやすいという身近さを表す意味でアクセシビリティを提唱している佐川先生(国立研究開発法人産業技術総合研究所 名誉リサーチャー)に、顧客拡大の方向として高齢者や生活マイノリティ、社会弱者などへの門戸開放への重要な課題感を提起していただきました。障害と健常という比較は差別に繋がりますが、全世界で最も早く高齢化社会を経験している日本にとって、高齢者を重視した社会づくりの必要性は感じながらも、どのような取り組みが重要なのかに考えが及ぶことはありませんでした。貴重な提言です。

編集側からは少子化、高齢化を踏まえて「国土のグランド・デザイン2050」という政府レポートから、生活と社会に欠かせない商業施設のあり方が「店舗の存在確率」という衝撃的なタイトルで語られています。これを紐解き、やはり最小人口商圏の規格について調べました。また私たちの身近に多く存在している商店街の実態調査報告から、これからの商店街のあり方、再発明の手段について有力な事例とともに提言しました。

繁盛太郎の最新情報では、サブスクリプションというトピックワードについての報告です。

総じて第3巻は消費者視点、顧客サイドから見た次世代店舗の有り様についての切り口で編集されています。既刊号と合わせてご覧いただければ、次世代店舗の構想発想の一助となること必至です。よろしくご愛読のほど、お願い申し上げます。
次世代店舗編集長 花房 陵
2019年10月
次世代店舗 第3号 
〜The Future of Store Innovation and Revolution〜
Copyright (C) 2019 NTS Inc. All right reserved.