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推薦のことば
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武藤徹一郎 癌研有明病院 病院長(大腸癌研究会会長)
低侵襲の腹腔鏡下手術は、大腸癌の頻度の増加とともに今後ますます増えていくと思われ、この手技に熟達した医師の必要性もさらに増大していくことであろう。しかし一方でこの手術は、内視鏡下の手術野で特殊な器具を用いて行うものであり、高度な技術の習得が不可欠である。
今回、刊行されるDVD「大腸癌の腹腔鏡下手術−実践に役立つ手術手技」は、腹腔鏡下手術を学ぼうとする医師を対象に、手技の習得向上に資することを目的として制作された。出演される先生方は第一線で活躍する熟達の医師ばかりである。画像は、手技の実際をポイント押さえながら提示し、圧倒的な臨場感のもとに展開される。また解剖学的にも理解を深める様、全編統一されたイラストによって解説され、手技を実践的且つ容易に学ぶ事が出来るように工夫・制作されている。加えて、DVDの特性を最大限活かし、一覧性と同時に多様かつ的確な検索機能で、学習を進め易く利用しやすいビジュアル教材となっている事も大きな特長である。
内視鏡下手術については、2006年6月から “技術認定制度”が 実施の運びとなり、手術の普及・技術向上に向けての体制も整いつつある。このDVDも教育・研修に大きな役割を果たしていくことを願うものである。
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大腸癌の腹腔鏡下手術 ―実践に役立つ手術手技―
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DVD作製に当たって
腹腔鏡下大腸切除は、1990年にJacobsが初めて報告した。本邦においては1993年から学会報告がなされており、その後徐々に報告演題数や各施設における症例数が増加していった。本術式の普及の速度は、腹腔鏡下胆嚢摘出術と比較すると遅いのが現状である。しかし、現在では、欧米においても本邦においても、本術式は徐々に確立した術式として定着しつつあり、今後大腸手術において欠くことのできない重要な位置を占めている。
腹腔鏡下大腸切除は、術創が小さく術後の疼痛が軽度で、麻痺性イレウスの期間が短いなどの利点があり、また、炎症性サイトカインの検索でも本術式の低侵襲性が示されている。さらに、美容的な面においても本術式の利点が認められている。本術式は主として大腸癌症例に対して施行されているが、根治性の問題は必ずしも明確には解決されておらず、また、腸管の剥離、リンパ節郭清、吻合などの技術的な習熟に時間を要するという問題点も残されている。
“腹腔鏡下大腸切除研究会”(注)は1997年に発足し、標準術式の確立、講習会の開催とTraining法の検討、データ集積による遠隔成績の分析、の3つのプロジェクトに取り組んできた。
本研究会のメンバーは、同時に大腸癌研究会の腹腔鏡下大腸切除についてのプロジェクト研究のメンバーも兼ねており、本術式の普及を目指して積極的な活動を行ってきた。
標準術式の確立を目指して、本研究会ではメンバーの施設における術式についてビデオを用いて度重なる検討を行い、その結果、腹腔鏡下大腸癌手術におけるアプローチ法やリンパ節郭清の手技については、コンセンサスが得られた。早期大腸癌のみならず、進行大腸癌に対しても標準的な術式がほぼ確立したと言ってもよいであろう。
腹腔鏡下大腸癌手術の遠隔成績に関しては、厚生労働省の班研究(北野正剛班長)とJapanese Clinical Oncology Group(JACOG)が共同して、開腹手術との比較を目的としたRandomized Controlled Trial (RCT)が既にスタートし、3年で約800例の症例を集積し、スタートから8年で結果を出す予定である。このRCTをスタートすることができたのも、腹腔鏡下大腸切除研究会のメンバーが標準術式を確立すべく弛まぬ努力を重ねてきたからであると思われる。
このDVDの作製にあたっては、上記研究会の主要メンバーがその製作に参画し、腹腔鏡下大腸癌手術の具体的な手技について、実際の手術画像を示して分かりやすく解説した。
病変部位によって、右側結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸に分け、さらに、内側アプローチと外側アプローチの両者について分かりやすく解説した。また、後腹膜アプローチもアプローチ法の一つの選択肢として取り上げた。
(中略)
この視聴覚資料は、最大限DVDの特徴を活かし、通常の目次とインデックス検索を行えるようにし活用の利便を図っている。書物と異なり、どの章どのインデックスからでも自由に見ることが出来ることもDVDの有用な特徴として評価出来ると思われる。また術式の動画にあわせてイラストレーシヨンを用いて分かりやすく解説した点が利用される方にとって特に有用であろう。
このDVDが、大腸癌の腹腔鏡下手術に取り組む外科医にとって、本術式の基本的な手技を理解し、それぞれの施設において本術式を軌道に乗せる上に役にたつものであると確信している。
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平成17年1月31日 自治医科大学大宮医療センター外科 小西文雄 |
DVD『大腸癌の腹腔鏡下手術―実践に役立つ手術手技の説明』について
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株式会社エヌ・ティ−・エス 代表取締役社長 吉田 隆
企画の背景
Evidence Based Medicine(EBM)は、一人々の患者のケアについての意思決定における現時点における最良の根拠(Evidence)を良心的に、慎重に用いる内容をその根本的な思想としております。具体的には、実証的で実用的なEvidenceを用い、患者中心の質の高い医療を実践するための方法・手技であります。同時に、これまで以上に、患者の負担が少ない・医療費負担の節減ができるという新しい医療が追求され、同時にその普及と教育がますます求められております。新聞紙上におきましても、次の様な報告がされております。
腹腔鏡下手術はこの10年間に普及してきた比較的新しい手術法ですが、腹腔鏡(ふっくうきょう)で体の内部を確認しながら、特殊な器具を使用して病巣を切除する手術は、出血量が少なく、術後の回復が早いなど患者の身体的負担を減らすメリットがある。「日本経済新聞2005年1月16日朝刊」
又一方では次の様な問題点が指摘されております。
内視鏡を使った胃や腸など消化器の検査・治療で03年4月〜12月に110人が事故にあい、12人が死亡したことが厚生労働省研究班の調査でわかった。このうち約半数は医師の技術不足や判断ミスが原因とみられた。「朝日新聞2005年1月9日朝刊」
この様な背景の中、日本内視鏡外科学会では医療ミス根絶を目指し、確かな手技を確立する為“技術認定制度”を立ち上げております。
ここに、最新の教育・研修用教材として、腹腔鏡下手術手技の標準をDVDによって提示し、標準術式の普及と安全な施行に貢献出来るものを目指し、DVD「大腸癌の腹腔鏡下手術−実践に役立つ手術手技の説明」が企画され、商品化されました。
DVD映像仕様
標準的な手術式を提示するとともに、解剖学的にも理解を深めるためにイラストを使用してより実践的な教材とし、またDVDの特性を活かし、自由な検索、多様な索引を用意し、使い勝手のよい、学習しやすいものとしました。又同種商品としては他の追随を許さない最新の機器を活用した鮮明なディジタル画像が実現しました。
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