骨格筋研究を核とした筋スマート社会
= 刊行にあたって =
 生体の40%を占める骨格筋は,近年,生体における「動力源」としてだけでなく,「代謝」の中心を担う器官,あるいは他臓器へメッセージ物質を送る「分泌」器官として捉えられるようになった.加齢や疾病による筋量や筋力の低下は,寝たきりによるQOL低下,糖尿病等のメタボリックシンドロームだけでなく,アルツハイマー等との関連性までが指摘される.筋‐神経系の疲労を的確に取り除く技術は,労働生産性の向上,うつ病などの精神性疾患の低減が期待される.アンチエイジングや美容といった分野でも筋機能の活用は注目されている.再生医療や細胞治療のターゲットとしても重要である.未来技術として,環境調和型の動力源(筋アクチュエーター)や培養食肉といったキーワードも注目を集める.本書では骨格筋機能を賢く使いこなす社会(筋スマート社会)の創出を志向し,健康な筋肉とは何か? どうやって作るか? 評価するか? 活用するか?について,教科書的な知識から最新の研究動向までを分野横断的に収録した.この分野に興味を持たれた方々から,既に深く関わっている方々まで,幅広くご活用いただけることを期待したい.
長森 英二
 
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