発刊にあたって

 最近の各産業における技術の発展はめざましいものがあるが、このなかにあって薄膜技術のしめる役割は極めて大きく、またその重要性はますます増大しており、薄膜技術がなくては多くの産業が成り立たないといってもよいだろう。
 このため薄膜に関係した専門的な会議が数多く開かれ、技術報告も多数出されている。しかし、これらは専門化、細分化されているため、共通した技術がたくさんあるにもかかわらず、全体をみて必要な技術をとりこんでゆくのがむずかしいのが現状である。
 このようなときにあって、重要な薄膜技術および評価技術、とくに広い分野の各種産業への応用をわかりやすく、すぐ役に立つような実務的な感覚で記述したハンドブックが必要であると考え、高度の学識と経験をもつ多くの専門家のご協力を頂いて、1995年に(株)エヌ・ティー・エスから「薄膜作製応用ハンドブック」を発刊した。幸いにして、このハンドブックは好感をもって迎えられ、短期間で在庫がなくなり増し刷りを依頼されるほどの好評であった。
 このような事情と、発刊後8年以上経過し、技術内容も変化し高度化してきていることを考慮し、今回新たに新訂版をつくることにした。新しい技術内容を盛り込むことは勿論であるが、編集委員の方々と使いやすさという観点から全体を見直し、構成や項目も一新した。この意味で、本書はいままでの編集の経験をいかしながら、新しいハンドブックを目指しているといってもよいだろう。また本書では、監修者と編集委員がすべての原稿を念入りにチェックし、必要があれば原稿を書き直して頂いており、より読みやすく、役に立つハンドブックになっているものと思う。
 このような特色をもつ本書は、薄膜の作製や評価、応用にたずさわる方々に十分役に立つものと信じ、ひろく活用されることを期待する次第である。
2003年3月  監修者 権田 俊一
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