本書ではまず薄膜を実学として捉え実用薄膜プロセスとして理解する新しい考え方を提示する。つまり、最も重要な薄膜プロセスはバルク材料の分解、輸送、成長であり、その素過程について述べる。このバルクの薄膜素過程の研究開発も最終的な薄膜の実用化を想定する必要がある。つまり、作製された薄膜の機能、実使用時の耐久性および付加価値と費用対効果を考慮した生産性をも視野に入れた薄膜作製技術開発が不可欠である。 全体の構成は、薄膜作製のプロセスの中心に第1編を構成し、発現する機能、応用を第2編に集約した。また、第3編には実用を視野にいれた薄膜作成実例を紹介し、詳しく解説した。
本書の著者はいずれも現在最先端技術を先導する第一線の研究開発者であり実用薄膜による機能創製から応用展開までを広く網羅する内容とした。従って、本書は実用薄膜プロセスの基礎的考え方を学ぼうとする初心者の入門書であるとともに研究開発の現場で日々実体験され不可解な現象に遭遇されているベテラン技術者の方々にも十分応えうる内容であると確信している。
「はじめに」より一部抜粋/2009年7月  齋藤 文良,多賀 康訓
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