LiDARの最前線
趣旨
 最近の自動運転ブームは,ベロダイン社製のLiDAR性能に支えられているといっても過言ではない。
ベロダイン社がLiDARを開発したのは,スタンフォード大学チームの要請により,アメリカ国防省が主催した自動運転コンテストに優勝するためであった。
アーバン・チャレンジに優勝した後スタンフォード大チームはGoogle に移籍し,現在の自動運転システムのデファクトを築いたのである。
日本でも自動運転の実証実験が始まり,LiDAR が大活躍している。しかし,日本製のLiDAR が存在していないため,使われているものはベロダイン社製のものである。そこで,日本でも自動運転のキー技術となるLiDAR 開発の一助となるよう,本書の企画を思い立った。
 本書は現在LiDAR関連の最前線の研究者,技術者の方々に執筆を依頼し,基本原理から応用までをカバーしたものである。第1章では僭越ながら監修者によるLiDARの変遷と期待を述べさせていただき,以下,LiDAR の各種操作方式を第2章で走査型機械式,第3章でTOF方式,第4章でソリッドステート式として紹介する。第5章ではLiDARの光源となるレーザを,第6章では受光デバイスを述べ,第7章,第8章はLiDAR による物体認識手法を紹介する。
さらに,第9章は用途展開として,自動運転,ドローン,バーチャル・リアリティ,自律移動ロボットでの使用状況を述べる。最後にLiDARの企業動向を参考資料として巻末に付する。
 速報性を重視したため,LiDARの全てはカバーできてはいないものの,大半の主要項目は紹介できたと思われる。本書が,少しでもLiDAR に関わる研究者・技術者の参考になれば幸いである。
(芝浦工業大学 伊東 敏夫)
 
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