異種金属接触腐食の機構・事例と対策技術
==趣旨==
 異種金属接触腐食は、条件によってはその速度が、通常の(単一材料の)腐食の数十倍以上にも及ぶことがあり、最も注意を要する腐食形態のひとつといえる。異種金属接触腐食は、水溶液環境(海水、淡水、その他)だけでなく、自動車、航空機、電子機器など大気中で使用される機器でも大きな問題となっていて、その防止対策が必要とされている。

 本書では、異種金属接触腐食の事例、機構および対策技術を、水溶液腐食の基礎に立ち返って詳しく、わかりやすく解説する。異種金属接触腐食と表裏一体の現象であるカソード防食についても簡単に述べる。異種金属接触腐食は異種金属間の電池形成が原因であるが、材料が同一の場合にも環境側の不均一によって電池が形成し、腐食の加速、抑制の現象が起こる。この現象についても章を設けて解説する。また、複雑な形状である実構造物の異種金属接触腐食とカソード防食の正確な予測には数値解析技術の適用が有効であり、境界要素法解析の手法と適用例について説明する。本書では、著者が行なった実験例をできるだけ多く紹介し、実験装置および方法についても詳しく説明する。今後、読者が異種金属接触腐食の実験を行なう際に参考にしていただきたい。

 本書が、異種金属接触腐食の機構の理解と防止対策の立案に役立ち、社会と産業の安全・安心に少しでも貢献できれば幸いである。
 
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