スピントロニクスハンドブック 〜基礎から応用まで〜
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20世紀末から21世紀初頭においての磁性体物理の進歩ならびに磁気の研究の進展は著しいものがある。磁性体(スピン)については,1975年6月に初版が出版され,磁性体の基礎から応用までが網羅されている名著「磁性体ハンドブック(朝倉書店,近角聡信,太田恵造,安達健五,津屋昇,石川義和 監修)」があるが,1988年にフランスのパリ大学のグループおよびドイツのユーリッヒ研究所のグループによる「巨大磁気抵抗(GMR)効果」の発見が契機となり,電荷とスピンが担う電子の輸送現象の物理が大きく花開き,スピントロニクスといった新たな理工学分野が誕生した。

そこで,このスピントロニクスの誕生により,基礎研究および応用技術の両面で大きな変革がもたらされている磁性体研究および磁気の研究について,磁性(スピン)の基礎からスピントロニクス集積回路までの応用に至るあらゆるスピントロニクスの学術領域,技術領域を網羅したハンドブックの編纂が必要との認識のもと,今般の「スピントロニクスハンドブック」の編纂に至ったものである。



2023年4月
佐橋 政司/湯浅 新治/遠藤 哲郎
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