2014年になっても国内のリチウムイオン電池(LIB)メーカーの苦戦が続いている。小型民生用を中心に、中国、韓国メーカーにシェアを奪われているのが現状である。単価が高い大型LIBの比率が高まっているが、国内全体でみると市場規模の縮小傾向が続いている。2014年以降は、多数の自動車メーカーがEVの新車販売を計画しているが、EV市場の本格的な立ち上がり時期は未だ不透明である。一方、小型民生用LIB市場では、主役アプリケーションが、従来のノートPCからスマホやタブレットPCへ交代したことにより、セル数ベースでの伸び率は鈍化した。
世界を見てみると、LIBの用途領域は、スマートフォン・タブレットPC・ノートブックなどのIT製品から、EV、HEV、PHEV 、ESS(Energy Storage System;定置用蓄電池)などへと急速に拡大している。
こうした市場動向を背景に、本書の第1編「LIB関連産業の動向編」では、LIB主要4部材世界市場、HEV・EV・PHEVなどのエコカー市場、車載用LIBと定置用LIBの市場などを記述している。そして、第2編の「LIBのビジネスモデルと技術編」は、前サムスンSDIの佐藤登氏に執筆していただき、小型民生用と車載用 LIBのビジネスモデルと技術動向の詳細、日本の電池産業界が競争力を発揮するための条件などを記述していただいた。本書がLIBに係わる多くの方々の貴重な情報源となることを確信し、ご購読をお勧めする。
リチウムイオン電池産業の実際とビジネス展開
〜リチウムイオン電池のビジネスモデルと技術動向〜
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