はじめに

世界ではEV、PHEV の普及が加速していく。日本市場では伸び悩んでいるが、欧州や米国などで販売が拡大している。価格が下がり、航続距離が300km以上のEV が相次いで市販され、近距離移動では、実質的にEV として使われるPHEV の投入も本格化している。
2014 年のLIB 市場は、前年比102.2%の1 兆6,340 億円であったが、今後はEV とPHEV 市場の拡大や新興国における電力網を補完するエネルギー貯蔵としての需要喚起などで、LIB 市場が大幅に拡大していくことは間違いない。
LIB の用途は、スマートフォンやタブレットPC などの製品から、EV、HEV、PHEV 、ESS(定置用蓄電池)などへとシフトし拡大している。これら次世代自動車の普及に伴い、車載用LIB 市場は急成長していくだろう。こうした動きに並行してLIB の主要部材は、海外企業の進出が見られるが、電解液や極材などの素材と装置は日本企業が技術的に優位に立っており、今後も日本の強みとして発展が期待される。韓国勢は中大型LIB で攻勢をかけている。サムスンSDI とLG 化学は、大規模投資を続けて価格を引き下げ、シェアを獲得してきた。中国はエコカーの累積販売目標を2020 年までに500 万台に設定し、補助金を大幅拡大し、充電所も拡充している。
一方、米国のテスラ・モーターズは中国市場においては、自社の単調なビジネスモデルと充電インフラの遅れが要因で苦戦を強いられている。その米国は、オバマ政権の政策として、材料から最終的な電池パックまですべてを自国で生産する方針を打ち出したものの、事業破綻や事業の軌道修正の動きが活発になっている。
日本の電池メーカーは、活動を活発化している韓国のサムスンSDI やLG 化学と競争しなければならない。そのため電池事業の産業基盤を固めることが課題になっている。本レポートは、中国や欧州、米国のLIB 産業で起こっている実際の現場とマーケット予測を探った。本レポートで海外のリチウムイオン産業と市場の最新動向を把握できるものと確信している。
世界のリチウムイオン電池産業と市場動向
〜韓国・中国・欧米のLIB 産業の実際〜
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