= 刊行にあたって =

 電気自動車(EV)への関心が高まる中で、様々な分野で大規模電池システムの設計や製造が検討されている。これらのシステム化は電池メーカーが中心になって開発されてきたが、最近では新規に参入するメーカーにおいても開発が行われている。
 なかでも、電池の特性を理解しEVの開発に向けて、電池の「長寿命化」「安全性向上」「高効率化」を支えるバッテリーマネージメントシステム(BMS)の要素技術が重要になっている。EVなどではBMSにより充放電状態をチェックするだけでなく、電池セルを劣化させる恐れのある状況を防ぎ、電池パックの長期使用を実現させる必要がある。それゆれに、BMSとは実稼働しているバッテリーシステムに障害や不具合が発生した場合に、管理者に自動的に通知する仕組みでもある。
 自動車産業は各社とも海外生産を選択し、EVなど次世代自動車の研究開発・生産を目指す投資に移っている。2017年のEVの生産台数は前年比210.1%の29万2,000台と予測されている。こうした次世代自動車の普及に伴い、車載用LIB、それに用いられる部材は長期的に高い成長が見込まれる。
 世界のLIBの生産は主に中国・日本・韓国に集中しており、特に中国の企業数が最多で、生産能力が最大であり、またEV ベンチャーが活発な活動を見せている。中国は現在、LIBの産業チェーンを形成しており、車載用電池の開発、構造設計、製造の技術を把握している。生産ラインも半自動から全自動による大規模な製造に移りつつある。
 本レポートでは、EV開発に向けた最適なBMSに焦点を当てることで、LIBの基礎特性評価、電池の性能劣化とそのメカニズム、劣化度・寿命予測の評価方法などの理解が得られる構成にした。さらに、EVを含めた次世代自動車、及び、車載用LIB、 LIBの主要部材の最新動向を掲載した。
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