21世紀に入ってから世界のエネルギー事情は大きく変化し始めた。石油は乱高下し、安価な石油が大量に供給される時代は終わった。一方、天然ガスはモザンビークに新たに大規模なガス田が見つかり、非在来型では、米国でシェールガスが新たに掘削され始めた。シェールガスは米国だけでなく世界的に埋蔵していることが分かりシェールガス革命と言われる安価な天然ガスの時代が到来し始めた。一方、化石資源の消費が進み、大気中の二酸化炭素濃度が急激に増加し始め地球温暖化が深刻な問題となり始めた。先進国では省エネルギー化が進み、エネルギー需要は若干減少し始めたが、新興国は産業が急速に発展し、エネルギー需要は急激に増加し始めた。モータリゼーションも急速な勢いで進み始めている。化石資源に基づく二酸化炭素削減のため、再生可能エネルギーとして米国ではコーン、ブラジルではサトウキビベースのバイオエタノールが自動車燃料に混合して使用されるようになった。また、太陽電池や風力による電力の普及と開発が進んでいる。燃料電池車も一部、市販されるようになった。
 人類は、2050年に向かって完全な再生可能エネルギー社会に向かって着実に進んでいるように見える。しかし、課題は山積みである。バイオマスは資源に限りがあるだけでなく自然破壊につながる恐れがある。二酸化炭素削減対策のCCSは、本当に安全か疑問である。その中で唯一、可能で実際的な解決策は、石炭や石油ではなく天然ガス(メタン)の利用である。いずれ今世紀後半か22世紀までには水素社会が到来する。それまで、そしてその後も化学品原料として使われるのは天然ガスである。天然ガスの利用を進めなければならない。更に、二酸化炭素をCCSするのではなく、CCUによって削減することを考えなければならない。
室井城
触媒からみるメタン戦略・二酸化炭素戦略 Copyright (C) 2017 NTS Inc. All right reserved.