世界のe-fuel・SAF 最新業界レポート
= 刊行にあたって =

 2023年3月、EUはエンジン車の新車販売を2035年から禁止するとしていた方針を転換し、「合成燃料」の使用を条件に販売継続を認めることで合意した。

 合成燃料とは、CO2とH2を合成して製造される燃料である。CO2からCOに転換し(逆シフト反応)、COとH2を反応(FT合成反応)させて作られる。特に再生可能エネルギー由来の水素で作った合成燃料は「e-fuel」と呼ばれる。

 今後、2030年に向けて、世界的に商用プラントが稼働され、日本への輸入が増加していく。特に航空分野で需要が増加し、市場を牽引していくと予測される。日本では経済産業省のグリーン成長戦略において2050年までの合成燃料のロードマップが示されており、実証事業が進められている。

 一方、持続可能な航空燃料(SAF)の普及には、製造コストが課題である。日本では、価格目標として「2030年までに100円/L台」が目標として掲げられている。しかし、石油由来航空燃料の製造コストとの比較では、SAF燃料価格は2.1〜16倍あり、大きな価格差がある。

 現在、各国は目標達成に向けてSAF供給体制の構築を進めている。また同時に、国際的なSAF原料の争奪戦が行わられているのが現状である。SAF原料にはいくつかの種類があるが、廃食油を原料とするSAFの商用化が先行している。既に海外では廃食油をSAF原料として囲い込んでいる。原料調達からSAF供給までのサプライチェーン構築が不可欠である。

 本レポートは、世界のe-fuel、及びSAFに参画する企業を主に調査した。今後の展開を見据えたうえでの次世代ビジネスにつながるレポートになっている。

CMCリサーチ調査部
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