世界のe-メタン・グリーン水素 最新業界レポート 冊子+CDセット
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 都市ガスの主成分であるメタンを、水素とCO2から合成することを「メタネーション」、合成されたメタンは、「合成メタン(e-メタン)」と呼ばれる。合成メタンの燃焼で排出されるCO2は、もともと排ガスや大気中にあったCO2であり。化石由来のCO2を増加させないため、燃焼しても大気中のCO2は増加しない。

 e-メタンの原料となる水素は、それを製造する方法の違いにより、グリーン水素やブルー水素に区分されるが、将来的には再エネ電力コストの低下に伴い、グリーン水素が主流になると想定されている。

 現状、e-メタンの製造コストは、半分以上が水電解・電力コストが過半を占めている。革新的技術によるメタネーション効率の向上に向けての研究開発だけでなく、e-メタンのコスト抑制のためには、海外を含めた再エネ電力コストが最小となる製造適地の選定が重要視されている。

 現在、グリーン水素を製造するにあたって、アルカリ水電解装置とPEM水電解装置が実用化されている。アルカリ水電解法はスケールメリットがあり、特に大規模プラントで低コスト化が期待できる、しかし、出力が大きく変動する再生可能エネルギーからの電力が問題となっており、入力電力の変動にも対応可能な新たな電極材料の開発、及び、電解槽・電極の設計の改善が求められる。また、最近では、アニオン交換膜(AEM)水電解装置や固体酸化物形電解セル(SOEC)にも注目が集まる。

 一方、CO2回収の主な技術には、濃度の高いCO2を排出する排気管に取り付ける炭素回収・貯留システム(CCS)と大気から大量のCO2を回収するDirect Air Capture(DAC)がある。DACについては、EUにおいてパイロットプラントでの実証試験が盛んに行われている。また、米国でも実証試験レベルの研究は多額の資金援助を受けており、欧米でのDACの研究は急加速している。実際にカナダやスイス、米国のDACスタートアップは実用化を進めており商用機も稼働させている。

 今後の展開として、e-メタンの原料であるCO2の安定調達や合成メタンの需要変動に伴う価格変動の抑制、及び、原料のCO2の由来の証明などの制度整備が不可欠になってくる。

 本レポートは、e-メタン・グリーン水素に着目し、世界のプロジェクトに参画する企業を主に調査し、「第T編e-メタン」「第U編グリーン水素」「第V編CCS」と最新動向をまとめた。今後の展開を見据えたうえでの次世代ビジネスにつながるレポートになっている。

CMCリサーチ調査部
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