リモートセンシング事典
 
= 刊行にあたって =

 地球観測衛星Landsatの打上げから50年が経過し、様々な国の宇宙機関や民間会社により地球観測衛星が打ち上げられ運用されている現在、リモートセンシングは気象、農業、漁業、森林、災害状況把握等の分野で不可欠の技術となっています。最近ではリモートセンシングに使用されるプラットフォームが多様化し、小型衛星を使用したコンステレーション観測で高頻度観測が行われたり、無人航空機を使用した近接リモートセンシングでユーザが自らデータを取得して解析可能になっています。データを取得するセンサも性能や空間分解能が向上して従来の解析技術では十分にセンサやデータの性能を活かしきれなくなっています。もちろん、リモートセンシングに関する解析技術もめざましく進化しており、最近の機械学習に関する技術発展やツールの普及もあり、10年前には予想できなかった使用方法や応用例が出てきています。このように進化の激しい分野のため、使用されるプラットフォーム、センサ、解析技術の種類も増加の一途を辿っています。

 このような状況の中、2021年に日本リモートセンシング学会は設立40周年を迎え、学会の将来像を見据えて示された「日本リモートセンシング学会の価値創造」の実現策を考えました。多様なプラットフォームやセンサで取得したリモートセンシングデータに関する技術を広く認知していただくための普及活動の一つの策として、リモートセンシングに関する事典を刊行する準備を進めてきました。

 2020年末に学会内にリモートセンシング事典編集委員会が発足しました。コロナ禍が収まらない状況下で、すべてオンライン会議とメイリングリストによって委員間の情報共有や連絡が行われ、編集作業や進捗管理についてはすべてクラウドサービスが使用されたと聞いています。発刊までに2年程度の期間でしたが、掲載されているすべての項目について編集委員と執筆者との間で十分な査読と修正が実施されたものになっています。

(中略)

 最後になりますが、本事典がリモートセンシング関係者のみならず、広く一般に普及し、またいろいろな場面で使用され、リモートセンシング技術がより深く浸透することを願っています。

2022年10月吉日
一般社団法人 日本リモートセンシング学会
会長 若林 裕之
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