発刊に際して

 近年,各種産業にて使用されている工業製品の種類は極めて多い。また,その種類は,能率の向上,作業時間の短縮,製品の精密度の要求からみて変化している。
 一方,環境問題,人体に対する環境から見て,使用不能になった薬品も,その数は非常に多い。
 そこで,次のごとき各種産業を取り上げ,如何なる工業薬品が使用されているか,どのような工程に使用されているか,その最近の動向はどうなっているかを詳細に検討したものが本書である。とりあげた工業分野は,金属工業(アルマイト工業,めっき工業,化成処理工業,亜鉛めっき鋼鈑の塗装工業,空調用フィンのコーティング等を含む),セメント工業と地盤強化工業,ガラス工業,セラミック工業,紙・パルプ工業,繊維工業,プラスチック工業,ゴム工業,家電工業,ナノ工業である。
 本書では,可能な限りの最新の工業薬品についてとりあげ,その特徴,性能,信頼性,使用上の注意,公害関係の項目につき,専門技術者の方々から協力を得て,本書をまとめることができた次第である。
 また,これ以外に最近のナノ工業の動向と公害関係の適用規格について詳述した。
 本書は,各種産業界に携わる多くの技術者の方々にとって有益な入門書にもなるし,座右の書として活用していただくことにより,技術の発展と品質・信頼性の向上に役立つことを願っている。
 ともあれ,本書が工業薬品と材料工程の関連を調査研究する上での第一選択書となるとひそかに自負している。
 最後に本企画を提案され本書の出版に多大な心血を注いだR&Dプランニングの山本正和社長ならびに多方面にわたる原稿収集と煩雑な編集業務を根気強く成し遂げてくれた深沢志津子氏に対し敬意と感謝の言葉を捧げたい。
共同編集者  小石 眞純
間宮富士雄
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