分散剤の選定法と効果的な使用法 〜界面活性剤概論と分散への応用〜
<「はじめに」より抜粋>
 界面活性剤は我々の生活にとって欠くことのできない種々の製品に使用されている。日本界面活性剤工業会の統計によると日本では年間約100万トン、6,000種類の界面活性剤が生産されている。繊維、医薬品、化粧品、食品、土木、建築、鉱業、製紙、塗料、接着、家庭用洗剤など人間生活のあらゆる方面に用いられ、界面活性剤の助けなくしては日々の生活が快適にできないとまで言われるぐらい身近な存在になっている。界面活性剤の有用な作用としては湿潤作用、乳化作用、分散作用、可溶化作用、起泡作用、消泡作用、洗浄作用などがある。*

 一方、界面活性剤は生産現場においてはプロセスケミカルス(行程薬剤)とも呼ばれ、原料から製品までの生産プロセスで起こる種々の問題、例えば発泡、増粘、減粘、分散不良、ぬれ性不足などなどの予防あるいは解決に効果を発揮し、製品の性状、品質を向上させる。プロセスケミカルスは約2,000種ありその多数の薬剤の中から最適なプロセスケミカルスを選ぶにはプロセスケミカルスの基礎を知ってもらいたい。*

 界面活性剤というと一般的に低分子量(分子量;1,000以下)のものをいうが用途によっては、例えば粉体の分散の場合スラリーの経時安定性を得るために分子量数千から数万の高分子界面活性剤を使う。*

 本書では水系分散、溶剤系分散について、そのメカニズム、分散剤の種類、組成、性状、使い方、選定方法など分散に関し学ぶが、まずそれらの基礎となる界面活性剤の概論と分散の被分散体である粉体についても説明する。



分散剤の選定法と効果的な使用法 
〜界面活性剤概論と分散への応用〜
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