世界の次世代触媒 最新業界レポート(前編) 冊子+CDセット
= はじめに =
*****本文******************************

 CO2から燃料や各種化学製品の合成、水素製造、メタン合成、アンモニア合成、プラスチック・レアメタルのリサイクル、バイオマス原料の利活用など、様々なプロセスにおいて触媒が使用されている。近年では、カーボンニュートラルの実現に向け、より高性能な触媒の開発、実証試験の取り組みが活発に行われている。“稀少金属を用いない”、“精密設計された”といった「次世代触媒」が欠かせない。

 「CCS」の共通基盤であるCO分離・回収技術は国内外で実施されている。固定型吸着材は、COの吸着が効率的にできるうえ、排ガス浄化触媒の開発技術を適用して吸着する場所を増やし、多くのCO吸着が可能である。COの物理吸着では主にゼオライトや活性炭が使用されているが、MOF(Metal Organic Frameworks)などの研究開発が盛んである。欧米ではミクロ多孔性金属錯体を薄膜化し、分離膜への応用研究が活発である。CO2分離、水素分離、パラフィン/オレフィン分離などの選択性が期待されている。

 また、排ガスや大気中から回収して燃料やさまざまな製品に再利用する技術「CCU」が注目される。COから直接「エタノール」を合成する技術は、まだ研究段階である。合成には効率的な触媒開発と反応システムの開発が必要とされている。「人工光合成」は、光触媒、分離膜、合成触媒に関する研究開発が進められているが、開発段階である。人工光合成の反応効率自体はまだ低いことから、今後もさらなる触媒固定化の工夫、合成効率の向上が求められる。

 その他、COからメタノールが工業的に製造されている。従来のCOからのメタノール製造には、原料から生成物の方向と生成物から原料の方向へ同時に進行する可逆反応のため収率が低く、また、副生する水による触媒劣化に課題が残る。各社は収率の向上に向けて、触媒劣化の抑制の研究開発に注力している。

 さらには、ボーイングなど機体メーカーやエンジンメーカーを中心にSAF100%利用とする研究開発や試験が行われている。なかでも、ATJ(バイオマス糖などのアルコール合成の製造プロセス)技術を用いて大規模にSAFを生産することが注目を集めている。エタノールからSAFを製造する際の収率の向上を実現するために、効率的な運転を可能とするプラントの設計や触媒の開発・運用技術等の確立が必要とされている。

 本レポート「世界の次世代触媒最新業界レポート(前編)」は、第T編「CCS」、第U編「CCU・カーボンリサイクル」、第V編「カーボンニュートラル燃料」で構成される。今後の展開を見据えたうえでの次世代ビジネスにつながるレポートになっている。

*****本文******************************


CMCリサーチ調査部
世界の次世代触媒 最新業界レポート(前編) 冊子+CDセット Copyright (C) 2024 NTS Inc. All right reserved.