発刊にあたって

 空気マイナスイオンの研究の歴史は古い。「空気マイナスイオン応用事典」(人間と歴史社)によれば、1900年には始まっている。従って、100年に及ぶ歴史のあるマイナスイオンである。少なくとも
90年間は一般国民の目に触れることも少なく、学者や軍事的目的の研究対象とされてきた。
 ところで、今日のマイナスイオンブームはいつ頃から芽生えてきたのか。本格的に消費者への認知が始まったのは、ここ7年くらい前からである。そのブームの火付け役は東京大学の山野井 昇先生である。先生がその著書「マイナスイオン体内革命」を発表したのが、1996年10月30日。この本が一般消費者や企業の目に止まることとなり、企業もマイナスイオン産業へ参入するきっかけとなっていった。この頃、名古屋のメーカーが早くもマイナスイオンドライヤーを販売していた。その後、消費者向けのいわゆる一般商品が店頭に並ぶようになる。ある家電メーカーが空気清浄機を発売すると、他のメーカーも堰(せき)を切ったように製品を販売しだした。このことで、一気に消費者への認知度が高まっていく。今日のブームの始まりである。
 マイナスイオンは本当に健康に良いのか。本当に効くのか。マイナスイオンにウソはないのか。これらは、まだ完全に解明されたとは言えない。このことで今、産業界と学者間の論争も起こっている。しかし、マイナスイオン産業は着実に成長している。現在ではマイナスイオンの正しい測定法も確立されつつあり、またイオンと健康に関しても随時好ましい研究結果が出されつつある。
 本書は最近の空気マイナスイオン研究の成果を取りまとめることで、空気マイナスイオンの基礎研究と応用技術の現状を把握し、次世代新産業創出のための「空気マイナスイオン」のトレンドを予測していただくために企画されたものである。空気マイナスイオン研究者を始め、マイナスイオン関連事業に携わっている方々の参考の書としてご活用願えれば幸甚である。
2003年12月  編者
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