水はあらゆる分野と関わりをもっており、その範囲は、自然科学はもちろん人文科学から社会科学にまで及んでいる。自然科学、科学技術だけをみても、物理・化学・生物学・医学・薬学・公衆衛生学・農学・生態学・環境科学・地学・土木工学・衛生工学・海洋学・調理学・水文学などきわめて多岐にわたっている。一方、実用面においても家庭生活から一次・二次・三次産業まで、すべての分野が水と何らかの関わりをもっている。また、地球規模で量的な水不足地域の急速な拡大が予測されるなど、社会科学的な関心が高まっている。このように多分野にまたがっている水に関する知見を、辞典というコンパクトな使いやすい形で提供する意義は決して小さくない。
 本事典の趣旨と特徴は『水の総合辞典』という書名に込められている。本辞典をひもとけば、分野を問わず水に関して何らかの手がかりが得られることを目的として編集した。この方針に基づいて、既存の辞典にはない、より広い範囲で水全般をカバーする辞典をつくることを目指した。つまり、自然科学、科学技術の用語を調べようと思ったときに役に立つことはもちろん、人文系における水に関する言葉、すなわち、歴史、宗教、民俗、気象、生活、調理などの分野の言葉や、古語、季語、ことわざ、格言などを全採録語数のうちの1/3近く掲載することによって、『水の総合辞典』の名に恥じない辞典をつくることができたと自負している。
[序文より抜粋 ― 編集委員長 久保田 昌治(ウォーターデザイン研究所)]
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