エポキシ樹脂は1930年代に開発されて以降、あらゆる分野で実績を積みながら発展が続いている。接着性や、電気特性、強度、耐溶剤性といった特性を活かし、塗料や接着剤、電気・電子部品、建設関連で使用されてきた。
 経済産業省生産動態統計によると、国内の生産量は2011年が162,432トン、2012年は149,995トン、2013年は136,797トンと国内生産量は減少の一途をたどっている。国内需要の低下や工場閉鎖などにより生産量の減少に拍車がかかっている一方で、世界におけるエポキシ樹脂の需要を見ると今後年々増加することが見込まれている。
その需要の約半分を占めるとともに、世界最大の生産国にもなっているのが中国である。大規模な生産設備を有し、汎用タイプのエポキシ樹脂はその安さから中国製品が世界を席巻している。その一方で、高付加価値タイプのエポキシ樹脂についてはまだ途上にある。高付加価値タイプの生産能力を増強し始めているものの、技術面でもまだその需要を満たしてはいない。日本のエポキシ樹脂ユーザーは汎用タイプのエポキシ樹脂を輸入に切り替え、高付加価値製品を日本で調達する動きを見せている。今後、日本のエポキシ樹脂メーカーはこれまでのエポキシ樹脂の製造技術を活かし、高付加価値タイプのエポキシ樹脂に切り替えるといった動きが活発になるであろう。
 本書は、以上のようなエポキシ樹脂業界全体の現状をまとめ、分析したものである。第T編ではエポキシ樹脂並びに樹脂原料、主要フォーミュレーターの動向についてまとめ、第U編ではエポキシ樹脂を用いた製品市場についてまとめている。海外の動向を示すため、第V編では中国の市場を、第W編では世界の市場についてまとめた。
 本レポートが今後のエポキシ樹脂関連業界の発展に寄与できることを願い、関係企業の事業戦略立案などにおいて参考になれば幸いである。
 
2015エポキシ樹脂・応用製品市場の実態と展望 Copyright (C) 2014 NTS Inc. All right reserved.