【刊行にあたって】

 自動車の燃費向上のために軽量化は永遠のテーマであるが、HV、EV、FCVの開発に伴い、自動車分野で使用されるプラスチック材料の使用状況に変化が生じている。モーター、インバーター、水素タンクなど多くの新規部品が登場し、また最近では、カーエレクトロニクスが発展し、センサ、カメラの搭載が著しく増加している。
 多くの電子部品が新規に採用され、IT技術の発展による自動運転、安全運転などのシステムが提案されていることが最近の顕著な動きとしてみられる。こうした中、これらの使用材料が、自動車の軽量化を推進する一翼を担うものとして注目されている。
 本書は、自動車部品へのプラスチックの最新の使用状況を示すとともに、これら新規部品と採用されたプラスチックの種類および新規自動車用プラスチックの開発動向などを調査し、最近の自動車関連の展示会等で収集した写真データ付きで、部品と採用プラスチックの種類等をまとめたものである。
 さらに、2025年までは、次世代車などの各種エコカーが増加し、従来車の比率が減少していくものの、内燃機関を使用する車種の比率は高い状態が続くとみられる。こうした環境変化の中で、各種プラスチックがどのような影響を受けるかも考察している。
 本書の構成は以下の通り。第1章では、最近の日本および世界の自動車生産の動向と生産予測を行っている。第2章では、各種プラスチックの特性およびデータ自動車用のプラスチック全般の最近の技術動向をまとめている。第3章は、230枚以上の部品写真とともに各種自動車用プラスチック(汎用熱可塑性樹脂、汎用エンプラ、スーパーエンプラ、熱硬化性樹脂、その他プラスチック)の用途動向、技術動向をまとめている。第4章は、170枚以上の部品写真とともに部位別の各種部品のプラスチックの採用動向をまとめている。
 本書は、こうした構成で、多くの最新のプラスチック部品の製品イメージとともに、その要求機能・特性およびその部品に採用される理由等を示すことで、自動車用プラスチックをより具体的により深く理解する一助となることを確信し購読をお勧めする。
自動車用プラスチック部品・材料の新展開 2016 Copyright (C) 2016 NTS Inc. All right reserved.