世界の再生プラスチック 最新業界レポート
= はじめに =

 使用済みされたプラスチックを「マテリアルリサイクル」や「ケミカルリサイクル」で再利用できるように処理された「再生プラスチック」が注目されている。

 その再生プラスチックを使用するには、再生プラスチックを使用するメーカーからの品質要求に、供給側が応えなければならない。供給側であるリサイクル業者は、安定した品質を確保するために、廃プラの排出元に対して、分別精度や汚れの除去といった品質が不可欠である。

 マテリアルリサイクルでは、ユーザーとの品質のすり合わせで、再生材の用途が限定されている。一方、バージン材と同等の純度と品質のリサイクル材を作るには、バージン材と同様の熱分解や化学処理が必要となり、ケミカルリサイクルの研究開発が行われている。  ケミカルリサイクル技術は、これまでは日本が最も進んでいる状況であったが、欧米の大手化学メーカーが、混合プラスチックなども対象として高品質な素材に戻す技術に注力している。しかしながら、ケミカルリサイクルによる再生材は、化学組成はバージン材と同等になるため品質のすり合わせよりも、コストの課題が残る。

 現在、リサイクル材の混合比率が30%から50%以上に高めつつある。リサイクル比率が高い場合でも、バージンと同等の物性を発現することが求められている。

 また、欧州における環境規制の導入により、企業は従来以上に厳格な対応が求められている。さらに、回収された資源由来のリサイクル素材を実際に利用しているかどうかを示す来歴情報の提示や証明を制度化する動向もあることから、再生プラスチック材のトレーサビリティの担保のほか、製造・検査工程、物性・品質情報等の可視化を明示化する取り組みが行われている。

 本レポートは、世界の再生プラスチックに関するビジネス・技術に関わる企業を主に調査した。今後の展開を見据えたうえでの次世代ビジネスにつながるレポートになっている。

CMCリサーチ調査部
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