世界のレアメタルリサイクル最新業界レポート 冊子+CDセット
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 各国による排ガス規制が厳しくなるに伴い、貴金属における触媒向けの需要が高まっている。年間のプラチナ(Pt)の鉱山生産量の半分以上が自動車触媒のために使用されている。また、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)の割合はさらに高くなり、鉱山生産量と同等以上であるためリサイクルしないと賄えない状態になっている。

 Pt・Pd・Rhから成る触媒技術の展開は技術的にも商業的にもまだ不透明である。技術の採用についても地域によって、バラつきが生じる。PdをPtでシフトすることに積極的なメーカーもあれば、自動車触媒のPt・Pd・Rh充填量を削減することに重点を置くメーカーもある。各社は各々の手法で模索し、ビジネスを展開している。

 現在、貴金属のリサイクルは活発に実施されている。宝飾品、歯科用合金等については、貴金属の含有濃度が高いことから、従来から再溶解を主体にリサイクルされてきたが、近年では触媒や電子機器部品等の低濃度含有物についてもリサイクルされるようになっている。

 しかしながら、貴金属をリサイクルする際にシアン(毒劇物)が使用されることが問題視されている。そのため、リサイクルで発生した排ガスや排水の無害化処理にも注目が集まる。最近では、微生物によるレアメタルの回収技術として、「バイオリーチング」や「バイオソープション」などが検討されており、低エネルギー・低環境負荷型回収プロセスとして期待が高まる。

 さらに、近年では車載用LIBのリサイクル技術が盛んで、業界が拡大している。現在、リサイクルコストは新品のLIBより高価であるため、各社はLIBリサイクルの処理費の低減についての研究開発を実施している。また、使用済み車載LIBから解体された正極電極板を洗浄し、そのまま、再利用をする技術として、「ダイレクト・リサイクル法」が注目を集める。各社はLIBのセルを構成する部材をできるだけ壊さずに、かつ、エネルギーをできるだけ使わずに取り出し、リユースすることを目指している。

 本レポートでは、Pt、Pd、Rh、Au、Ag、Ir、Ru、Cu、Al、Li、Co、Niなどのリサイクル手法のトレンド、課題、業界動向、及び企業戦略を調査した。今後の展開を見据えたうえでの次世代ビジネスにつながるレポートになっている。

     

CMCリサーチ調査部
 
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