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車載用リチウムイオン電池リサイクル:技術・ビジネス・法制度 |
= 刊行に寄せて =
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2022年末,世界のEV保有台数は約2,600万台に達しました。日本においても自動車メーカー各社が自動車の電動化に舵を切り,EVの時代が到来しつつあります。
EVの普及に合わせて車載用リチウムイオン電池の需要も増加しています。ここで忘れてはならないのが,リチウムイオン電池はやがて寿命を迎え廃棄されるということです。我々は使用済みリチウムイオン電池の処理について責任を負わなくてはなりません。
使用済みリチウムイオン電池の処理方法としてはリユースとリサイクルがあり,本書はこのうちのリサイクル技術に焦点をあてています。
車載用リチウムイオン電池のリサイクル技術に関わる書籍はすでにいくつか出版されていますが,その中でも本書はいくつかの点で特色を出しています。
まず,サーキュラー・エコノミーの観点からリチウムイオン電池リサイクルの位置付けが示されていること,社会システムの観点から日本におけるリチウムイオン電池の共同回収スキームとその実績が紹介されていること,製造する観点ではなく,リサイクルする観点からリチウムイオン電池の原理や構造が解説されていることなど,従来とは異なる観点から解説が行われていることが特色として挙げられます。
また,現在のリサイクル技術の柱の一つである湿式精錬については他書を凌ぐ詳細な解説が行われているほか,バイオ浸出(バイオリーチング)やダイレクトリサイクル(電気パルス法)といった非高温/低エネルギーの新技術についてもカバーされています。
このほか,リサイクルに関わる研究・特許の動向や,各国の法制度,関係各社の取り組み状況など,リサイクル技術およびビジネスの全体像を知るための資料が充実していることも本書の特色として挙げることができるでしょう。
読者諸氏におかれては,本書をお読みになることで,車載用リチウムイオン電池のリサイクル技術の現況を知り,リサイクル技術の研究開発やその成果を踏まえた事業化に役立てていただければ幸いに存じます。
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山口大学大学院 技術経営研究科長 教授 福代和宏 |
車載用リチウムイオン電池リサイクル:技術・ビジネス・法制度 |
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