欧州のリサイクル 総合分析 冊子+CDセット
= はじめに =
 欧州はどのようにリサイクル産業に取り組んでいるのか。プラスチックとレアメタルを中心にリサーチした。

 プラスチック関連では、欧州委員会は2018年1月、「循環型経済(サーキュラー・エコノミー)における欧州プラスチック戦略」と題した政策文書を公表した。そして、これまでに、「European Plastics Pact」「容器包装・容器包装廃棄物規則案」「SUP指令」「食品に接触する再生プラスチック製品に関する規則」などのプラスチック関連の環境戦略や法規制が打ち出されている。欧州では重点産業それぞれに取り組み進捗に濃淡はあるものの、官民一体となってサステナビリティを推進している。

 また、欧州域内に、廃プラスチックがとどまるようになったことから、プラスチックリサイクルの投資ニーズが高まり、リサイクル市場が活性化してきている。世界では90か所以上のケミカルリサイクルプロジェクトが実証段階であるが、欧州では10カ所以上のプラントが稼働している。いずれも商業目的に利用されているのではなく、長期的にケミカルリサイクル技術を深耕していく。

 一方、レアメタルリサイクル関連に関しても、2023年3月に、欧州委員会は欧州重要原材料法(European Critical Raw Materials Act)案が公表され、「重要原材料リスト」と「戦略的重要原材料リスト」が発表された。欧州の鉱業・金属セクターの企業や業界団体が反応することで、各金属の採掘の許認可を迅速化する措置や、資金を調達しやすくする措置が検討されている。欧州の関連企業は、レアメタルの抽出・回収技術をさらに加速させていく。

 また、2023年8月、EUではバッテリー製品による環境負荷を減らすべく、バッテリー製品の原材料調達から設計、製造、利用、リサイクル、廃棄などに至るライフサイクル全体を規定する「欧州バッテリー規則(EU Batteries Regulation:Regulation(EU)2023/1542)」が発効された。

 さらには、バッテリーを構成するすべての材料が採掘から加工、組み立てまでどこから来ているかを明確にする「バッテリーパスポート」にも注目が集まる。使用済みのLIBをそのままリユースしたり、使用済みLIBから回収したリチウム(Li)やニッケル(Ni)、コバルト(Co)などのレアメタルをLIBの材料としてリサイクルしたりする企業が増加傾向である。

 本レポートは、欧州のリサイクル産業に関するビジネス・技術に関わる企業を主に調査した。今後の展開を見据えたうえでの次世代ビジネスにつながるレポートになっている。

CMCリサーチ調査部
 
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