EV用リチウムイオン電池のリユース&リサイクル 〜電池材料のサプライ、諸規制とビジネス対応〜
= 今回の改訂と調査・解析の要点 =
 リチウムイオン電池(セル)のリサイクル技術も進展し、主要企業の技術は高いレベルにある。その背景となるEVのグローバルな拡大も、2030年あるいは2035年を目標に、歩を進めている。一方でリサイクル自体は、現状では対象となる廃電池の、絶対量が少ないので、実稼働にはほど遠く足踏み状態にある。

 この2年程の間に、この分野に関して新たな動きが見られる。キーワードとしては、電池パスポート/EU電池規制/カーボン・フットプリント/などである。左記に付随して、ブロック・チェーン/トレーサビリィテーなどが論じられている。これらは何れも、リサイクルする回収元素であるNi、CoとLiなどの、数値を含むリサイクル率が数値目標となっている。これらの実施には、数値的な元素資源の把握が不可避である。

 リサイクルはNi、Co、Li元素資源の、A.鉱産>B.精錬>C.前駆体(硫酸Niなど)>D.正極材合成>E.電池製造>F.EV走行>G.リユース>H.リサイクル>J.元素資源回収>K.B.又はC.への接続...という長いパスである。この間には、異業種の連系があり、業界それぞれの得意と不得意が存在する。

 技術面から見ても、鉱産・精錬関係企業の技術者と、合成化学担当と電池設計担当では、(金属)元素と見るか、前駆体化合物と見るか、電気化学の活物質見るか...かなり見方が異なる。目的は電池の化学資源の、リサイクルではあるが、アプローチは業界や技術者によってかなり異なる。上記の様な背景もあって、本書では「リサイクルの物理化学」の項目なども入れで、リサイクルを多面的に理解する為の一助とした。

 今回も、この分野の第一人者である、早稲田大学の所千晴教授に、「特別寄稿」をお願いし、グローバルに見た、リサイクルの方向付けなどに、ご教示をいただいた。本書が、脱炭素とEVシフトの流れの、リサイクル面からの、一助になることを願いたい。

調査・執筆:菅原 秀一/企画・編集:シーエムシー・リサーチ
 
EV用リチウムイオン電池のリユース&リサイクル 
〜電池材料のサプライ、諸規制とビジネス対応〜
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