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| 添加剤と高度プラスチックリサイクル 冊子+CDセット |
= 刊行にあたって =

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環境的な側面だけでなく,炭素資源の安定的な確保という視点からも,プラスチックのリサイクルはこれからの日本においては避けて通れない必須のテーマである。
従来日本においては,燃焼してその排熱を利用するサーマルリサイクルが,主なプラスチックリサイクル手法であり,現時点でも割合的にはほぼ7割を占めている。しかしサーマルリサイクルでは炭素源としての再利用がほぼ不可能であるため,欧州などではリサイクル手法として認知されておらず,マテリアルリサイクルあるいはケミカルリサイクルの推進が求められている。
ケミカルリサイクルは,有機化学あるいは化学工学の知識が有意に活かせるため,大学や化学メーカーにおいて基礎的な研究が30年以上前から取り組まれてきた。しかし,実際の使用済プラスチックへの適用率は,コストなどの課題のため5%程度であまり普及はしていないままであった。そのため,実使用済プラスチックを使い,リサイクル率や採算性を考慮した実用化研究は,ごく最近になって取り組まれるようになったと考えられる。基礎研究での試薬レベルの高分子とは異なり,実使用されているプラスチックは,酸化防止剤などの添加剤やタルクなどの充填剤が含まれた複合材料である。さらに使用済プラスチックには接着剤や汚れなどが付着している。これら外的要因の影響を定量的に把握し,どのように解決するかは,今後の本格化を目指した研究では大きな課題である。
一方マテリアルリサイクルは,容器包装リサイクル法などの整備もあり,再生ペレットは自体は生産されていた。しかし,リサイクルに占める割合は20%程度で30年近く停滞をしている状況であった。これは再生ペレットの物性が再使用に適さないレベルまで低下していたこと,またその原因が不可避かつ再生不能な化学劣化とされ,あきらめられていたことにある。しかし2019年に物理劣化・物理再生理論が提唱され,実使用に適用できるまでの物性再生が可能であることが一般的に認識されはじめられた結果,マテリアルリサイクルにも近年急速に研究的関心が高まりつつある。今後は実用化を目指した,再生物性の安定化や品質のさらなる向上が重要である。またそのためには,プロセス開発研究だけでなく,相構造の安定化のための添加剤や物性向上のための複合材料化などの研究が必須と考えられる。
従来ケミカルリサイクルやマテリアルリサイクルに関する専門書と添加剤や複合材料などの専門書は別々に取り扱われてきた経緯があった。しかしプラスチックのリサイクルにはこれらを包括した認識が必要であると思われ,本書はそのような視点で企画された。今後の研究開発テーマなどの立案の一助になれば幸いである。
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2025年11月 八尾 滋 福岡大学 名誉教授,広島大学 客員教授 |
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| 添加剤と高度プラスチックリサイクル 冊子+CDセット |
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