世界の3Dプリンティング 最新業界レポート
= 刊行にあたって =

 3Dプリンターが普及するにつれ、材料メーカーによる造形材料の開発・提案が活発になってきている。近年、3Dプリンターを活用した金属材料の成長も著しくなっている。金属材料はアルミニウムやチタン、鉄系が主流である。特に、強度対重量比、耐食性、疲労強度、加工率の高さという点で、アルミニウム合金の使用が多い。さらには、チタンやインコネル、銅などが多様化しており、今後は航空宇宙、防衛、ヘルスケア分野での採用が増加していく。

 バイオ3Dプリンターは、細胞凝縮塊を積層することで立体的な細胞構造体を作製する装置であり、特に製薬会社の創薬・スクリーニングではバイオインクの使用量が多くなるため、プリンターの需要が高まる。

 また、歯科領域において3Dプリンティング技術を活用する動きが拡大してきている。アプリケーションでは、矯正用マウスピース、人工歯、インプラント用のサージカルガイドなどの製造が拡大している。それゆえに、材料メーカーは独自のポリマー設計技術と複合材料の設計配合技術を組み合わせることで開発し、歯科用途をメインにラインナップを増やしている。金属から樹脂への素材転換が進んでいる。

 さらに、医療・福祉用3Dプリンター向けの高機能樹脂も増加している。義肢や人工骨などを容易に作製する方法を提案し、高齢化で拡大が見込める医療・福祉産業でのニーズの取り込みを行っている。

 樹脂向け、金属向けともに3Dプリンター市場は今後も拡大すると予測されている。

 コロナ禍で市場が伸び悩む時期があったものの、逆に、3Dプリンターのニーズが見直される契機になり、様々な業界で3Dプリンターが導入されている。

 市場機会の獲得のため各社は様々な戦略を進めており、3Dプリンター・材料ともに多様な選択肢が増えている。本レポートは、世界の3Dプリンターに関するビジネス・技術に関わる企業を主に調査した。今後の展開を見据えたうえでの次世代ビジネスにつながるレポートになっている。

  
CMCリサーチ調査部
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