初めての人も、技術者も理解できる 金属の接合と異種金属接合への応用
= 刊行にあたって =
 接合は古代からある基盤技術である。現在の構造物はほとんどが溶接構造でできており、接合はものつくりの基本となる技術であると考えられる。

 本書において、初めに接合の意義、歴史(アーク溶接や抵抗溶接の古代から現在までの移り変わり)について説明した。次に各種の接合法について基礎とその応用について解説した。先ず、機械的接合法は、ボルト・リベット、セルフピアシングリベット(SPR)、カシメ、接着などについて原理、特徴などについて述べ、新しい技術についても紹介した。

 そして、冶金的接合法について説明した。冶金的接合は大きく分けて融接(溶接)、圧接、ろう接に分かれる。融接にはアーク溶接、抵抗溶接、ガス溶接、電子ビーム溶接、レーザ溶接がある。それぞれの手法について原理、特徴、適用例などついて説明した。圧接には、ガス圧接、拡散接合、摩擦攪拌、超音波接合などがあり、各々の原理、特徴、適用例を説明し、その中で新しい技術も紹介した。最後に、ろう接について原理と特徴、レーザを使った新しい方法などについて述べた。

 最近は、自動車ボディのアルミニウム/鉄鋼の異種金属接合(軽量化と安全化両立のため)を始めとして、各種分野でマルチマテリアル化が推進されている。そこで、先ず自動車等での機械的接合による異種金属接合について、原理、特徴、現状やこれからの展望について解説した。

 次に融接については、筆者が行った研究開発のデータを用いて抵抗スポット溶接によるアルミニウム・異種金属接合の原理、特徴、課題について説明してある。また、進歩が著しいレーザ溶接による各種の異種金属接合については、特徴、課題、適用例等について述べてある。

 圧接については、摩擦攪拌による異種金属接合は輸送機関を始め各種分野で適用されており、各種の異種金属について特徴、課題を始め今後の展開などについて説明した。超音波接合では、アルミニウム合金/鉄鋼をはじめ各種の異種金属接合について、筆者の研究データを基にして特徴、課題、適用例について解説した。最後にろう接では、最新技術のレーザを用いた異種金属ろう付について特徴、適用例などについて説明した。

 本書では金属の接合の基礎から応用、更に異種金属接合への展開まで、製造メーカーや材料メーカーの技術者が理解できるようにわかり易く説明してある。本書は、メーカーの現場の技術者や設計技師にも実務を行う上で大いに役立つと考える。

 本書では、各種製品の設計、製造に関わっている技術者、接合関係の仕事をされている技術者、また将来これらの分野に進まれる予定の学生を対象にして、各種分野で適用可能な金属の接合技術の知識とその応用について記述した。また、自動車をはじめとして各種分野への適用事例について述べた。更に、最近の新技術についても紹介した。

 今までに出版された金属の接合の書物は、アーク溶接、摩擦攪拌などのように一つか二つの技術に絞った内容のものがほとんどであり、接合技術を横断的に幅広く説明したものはあまりない。そこで、本書では、金属の各種の接合技術について、横断的にその原理、特徴、課題、その応用方法などについて、図表を用いて出来る限り具体的にわかり易く説明した。

 終わりに、出版をご了承いただいた(株)シーエムシー・リサーチにはお礼を申し上げる。

                                    

園家 啓嗣
初めての人も、技術者も理解できる 
金属の接合と異種金属接合への応用
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