出版にあたって

 気/液,液/液,固/気,固/固,固/液などの「界面」は,材料,デバイスをはじめ新規材料開発において,広範囲でかつ重要な役割を担っている。とくに新たな物性・機能開発の場としての「界面」に対する期待はますます大きくなっている。
 しかし,界面における物性発現機構の解明,あるいは界面の制御といった問題は,現代の科学技術が取り組むべき中心課題 の一つであっても,その困難さのため多くの未 解決な課題が永らく放置されたままとなっている。近年,電子ビーム技術をはじめ,レーザや放射光など光ビーム技術の進歩とあいまって,界面を原子・分子レベルで計測したり,可視化する技術が大きく進展してきた 。また原子,分子を並べて機能を発現させるなどの界面創成技術の発展も大きなものがある。
 本書は上記の観点より,最新の界面計測,界面原子・分子制御技術を紹介し,応用編ではこれまでの界面科学および界面技術を総括し,「界面」の関わる分野の一層の発展に資する べく企画されたものであるとともに,最新,最先端(state of the art;cutting edge)界面分析法,および界面関連材料への応用が欠けることのないように努めた。 すなわち,「界面」をキーワードとして,界面を通して材料を見 直し,将来における材料設計の指針を得よう,とするところに本書のユニークな特徴がある。この『界面ハンドブック』は,大学学部程度の知識をもととして,これを補完充実し,発展させて,最新の学術および科学技術を含め,実社会で必要な再先端の情報までを分かりやすく総覧するものである。本書が,21世紀のキーワードとしての「界面」の科学技術の進歩および応用に重要な寄与をすることを期待する。
 ご執筆をお願い申し上げた方々は,各分野の第一線で活躍されている研究者, 技術者の諸氏である。御多忙中ご執筆の労を賜ったことに深く謝意を表する。また本書は多くの関係各位のご協力とご指導により実現したものである。ここに厚く御礼を申し上げる。
平成13年9月  監修者 岩澤康裕
梅澤喜夫
澤田嗣郎
辻井 薫
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